退職金に対する課税は老後の生活資金ということで軽減されていますが、所定の手続きをとらないと思わぬ税金がかかってきます。
退職により一時に受け取る退職金に対する所得税の源泉徴収は「退職所得の受給に関する申告書」の提出の有無によって、その取扱いが大きく違ってきます。
「源泉徴収税額表」に掲載されている「源泉徴収のための退職所得控除額の表」と「退職所得の源泉徴収税額の速算表」によって、退職所得の適正税額が計算されます。
適正税額ですから、原則として源泉徴収で課税関係は終了し、翌年3月の確定申告は不要となります。
所得控除のうち、老年者控除や配偶者特別控除の適用要件として「合計所得金額1000万円以下」というのがあります。退職所得は合計所得金額に含まれてきますので注意が必要です。
また、現行の20%の定率減税制度は退職金の源泉徴収の際に適用されていませんので、確定申告で適用を受け、還付になることもあります。
退職手当等の金額に対して20%の源泉徴収が行われます。退職所得控除額を控除する前の金額に20%ですから、いかに少ない退職金でもその20%を源泉徴収することになります。
この20%の源泉徴収税額が適正税額より多いということなら、翌年3月の確定申告をする必要はありません。しかし、当然損をしてしまいますから、確定申告をして余分の税金を還付してもらうことになります。
まず、所得税の課税の対象となる退職所得金額は次の算式により計算されます。
無断転用・転載を禁止します。