脱税事件に関する新聞記事をよく目にします。新聞に載るくらいの脱税ですから脱税額も巨額になります。しかし、脱税が発覚すると、脱税額が巨額なため、後始末は大変なこととなります。どれだけ大変か、ある芸能人の脱税の後始末を見てみましょう。
発覚した脱税額は2億円、個人及び法人で脱税していました。これだけの脱税額ですと法人と個人の追加納税額は脱税額の約半分弱になると思います。
追加納税額には延滞金という効率の罰則利息みたいなものが加算されます。当初の申告期限から2ヶ月の間は4.2%、それ以降追加納税額を全て支払い終わるまでに、14.6%のサラ金並みの利息がついてきます。
重加算税とは税金計算の基礎となる事実を隠蔽(故意に隠すこと)、または仮装(偽りよそおうこと)して税金をごまかした場合に課せられるペナルティーです。
追加納税額の35%または40%の額を課せられることになるのです。
今回のような悪質で巨額脱税ですと、法人税法違反および所得税法違反のいわゆる脱税罪で刑事罰を受けることになります。
刑事罰には鉄格子に入る実刑判決と罰金があります。
罰金は実務上においては、脱税額の2割程度が相場になっているようです。今回のケースでは個人と法人の罰金合計額は5,300万円になったようです。
贖罪とは、「犠牲や代償を捧げて罪をあがなうこと。特にキリスト教で、キリストが十字架上の死によって、全人類を神に対する罪の状態からあがなった行為」とあります。つまり、脱税をしたことを寄付をすることによって罪をあがなう(罪ほろぼしをする)ということでしょうか。
今回の脱税事件の張本人は財団法人法律扶助協会というところに500万円の贖罪寄付をしています。財団法人法律扶助協会とは、民事裁判費用の立替や無料法律相談を行っている財団法人です。ちゃんと受け皿があるのですね。
この贖罪寄付をしたことの効果もあったのでしょうか、脱税の張本人は実刑判決ではなく、執行猶予付きの判決となっています。贖罪寄付がなかったなら、実刑判決になっていたかもしれません。世の中なんでもお金ですね。
脱税額2億円に対して、おそらく追加納税額と延滞金で約9,000万円、重加算税で3,500万円、罰金で5,300万円、贖罪寄付で500万円だとしますと、合計で1億8,300万円のお金が出て行ったことになります。
脱税なんて決して考えないでくださいね!
(参考文献:税務Q&A5月号P40「税金裁判の動向」三木義一著 税務研究会発行)
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