新証券税制の見直し
第110_2号 2003年06月
新証券税制は平成15年税制改正でいろいろな見直しがなされ、平成15年1月よりスタートしています。その主な見直し点をみていきましょう。
1.当初の規定の見直し
- ①申告分離課税の税率の引下げ
- 当初、平成15~17年の3年間、所有期間1年超の上場株式等について20%の税率を10%の税率に軽減するという規定は次のように見直されました。
- 上場株式等についての10%の軽減税率は平成15~19年の5年間、所有期間に関係なく適用されます。
- ②100万円の特別控除の廃止
- 当初、平成17年まで適用の所有期間1年超の上場株式等の売却益からの100万円控除は平成14年末をもって廃止されました。
- ③特定口座制度の改善
- 特定口座の源泉徴収有りのタイプについて当初、証券会社が月ごとに所得税15%を源泉徴収し、翌月10日納付とされていました
- 見直しにより、できるだけ源泉徴収が過大とならないようにして、確定申告不要制度としての改善を図っています。
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- ・ 平成15年
- 平成15年1~3月まで所得税15%、4~12月まで所得税7%の源泉徴収で、徴収しすぎた税額については証券会社が年末に一括還付します。
- ・ 平成16~19年
- 月ごとでなく、年間通算分の所得税7%、および個人住民税3%を源泉徴収します。
- ・ 平成20年以後
- 年間通算分の所得税15%、および個人住民税5%を源泉徴収します。
- ・証券会社に預けないで自分で保管している株式(いわゆる「タンス株券」)については、平成15年4月から平成16年12月までに限り、特定口座の利用が可能となっています。
2.新たな見直し規定
①配当課税(上場株式等)
平成15年4月以後の配当課税は次のようになります。
- ・ 申告不要制度
- 一銘柄一回の支払金額が5万円以下(年10万円以下)という適用上限額がなくなりました。
- ただし、株式数5%以上の大口株主は申告不要制度を選択できません。
- ・ 35%の源泉分離課税の廃止
- すなわち配当課税は、原則として源泉徴収のみの申告不要と確定申告の総合課税の2つの方法の選択制となります。
- ・ 源泉徴収税率は
- 平成15年4月から平成20年3月までの5年間は10%、平成20年4月以後は20%となります。個人住民税もこの源泉徴収に一体化されます。
②公募株式投資信託課税
株式投資に準じた商品ということで、従来の利子としての課税方法から株式配当としての課税方法が採用されます。
- 平成16年1月以後、配当と同様の申告不要と総合課税の選択制となります。
- 平成16年1月以後、解約損や償還損について確定申告により株式譲渡益との通算が可能となります。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修