商法改正により平成14年4月1日以降に開始する会計年度の決算について貸借対照表の資本の部の表示が変わります。
企業会計原則の一般原則三は次のように規定されています。
「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」
今回の商法改正はこの会計原則に、より忠実なものになっています。
自己資本のうち資本金以外のものを剰余金といいますが、資本剰余金は株主の払い込んだ資本金と同様の元本としての性格を持つ剰余金です。
資本準備金は商法で限定的に規定された資本剰余金で、法定準備金として取り崩し目的が制限されます。株式払込剰余金、合併差益などがあります。
それ以外はその他の資本剰余金と区分され,減資差益、自己株式処分差益などがあります。
利益剰余金は会社が資本金や資本剰余金などの元本を運用して稼いだ果実としての性格を持つ剰余金です。
利益準備金は商法で規定された法定準備金です。法定準備金(資本準備金および利益準備金)が資本金の4分の1に達するまで利益処分としての現金配当、役員賞与の支出額の10分の1以上を毎決算期に積み立てるものです。
会社が資産として持つ投資有価証券などについて時価評価をしたときの変動額です。
含みとしての評価益、評価損を直ちに損益取引として認識することが適切でないことから、資本の部に上記の剰余金とは区分して記載されます。
土地再評価差額金も同様の性格のものとして、ここに記載されます。
商法改正により自己株式の取得・保有について制限がなくなり、従来資産扱いだったのが、今回資本の部に資本のマイナス項目として表示されます。自己株式を取得することは資本の払い戻しと同様の性格を持つからです。
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