所得税の確定申告期間中は、税務調査を入れることができませんでしたので、確定申告が終わってからは連日税務調査の立会という状態でした。税務調査に立ち会って感じることは、「売上と仕入・外注費との期間対応だけはしっかりとしておく」ということです。
なぜならば、税務調査で必ずと言っていいほど期間対応はチェックされます。ですから、事前に期間対応の意味をよく理解して経理処理する必要があります。
「売上をいつの時点で計上しなければならないのか」ということが売上の計上基準です。売上の計上基準は各業種により異なりますが、基本的な考え方は「物品や役務の提供をして、その対価としての請求権が確定した時点」と言うことができます。
商品販売であれば商品の出荷時、建築請負であれば建築物の完成引渡し時となります。
請求書の発行日で売上を計上していれば問題がないとは言えません。得意先への請求書の発行が、2月分を3月に請求するといった場合には売上の請求月が1月ずれています。このような場合には決算で調整する必要があります。
つまり、3月決算であれば3月に請求した2月分の請求と、4月に請求する3月分を3月の日付で決算に入れ込まなければなりません。
そうでないと、3月分の売上計上が漏れてしまいます。
売上の請求が月末締めでなく20日締めのような場合には、締め後売上の計上が決算で必要となります。
つまり、毎月20日締め請求の場合、3月決算で3月分の請求を売上に計上しても、それは3月20日までの売上の計上となります。当然3月21日から31日までの売上も計上しなければなりません。その計上を締め後売上の計上と言います。
外注を使って仕事をしている場合には売上の計上と外注費の計上のタイミングを合わせるようにしなくてはなりません。
売上の入金より先に外注費を支払う場合には売上の計上より外注費の計上の方が先行することになります。すると、3月決算の場合、外注費の計上は3月で、その外注の仕事により計上する売上が4月以降の翌期にずれ込むことがあります。
これでは、外注費という経費が先行計上されてしまい、税務調査において一発で指摘されてしまいます。
このような場合には、先に支払った外注費を前払金または仕掛品として資産で計上して、翌期にその資産を外注費に振替えることにより売上高と対応させなければなりません。
入金時に売上を計上している場合には、決算で調整が必要です。ちゃんと3月決算の場合は、3月までの請求権が確定している売上高を決算で追加計上しなくてはなりません。
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