15年度税制改正大綱
第104_1号 2002年12月
1.はじめに
12月13日に平成15年度の税制改正大綱が決定されました。15年から適用される改正と16年から適用される改正があります。
2.平成15年から適用される改正
- ●研究開発減税
- 試験研究費の一定割合だけ、税金を値引きしてくれる制度(税額控除)です。売上高対する試験研究費の割合に応じて試験研究費の10~12%の金額を税金から引くことができます。
- なお、中小企業については特別に試験研究費の15%を引くことができます。
- ●設備投資減税
- パソコンやインターネット電話設備、ソフトウエアなど(合計額が600万円以上、資本金3億円以下は140万円以上、ソフトは70万円以上)のIT関連設備について、購入価額の50%の特別償却(通常の減価償却に加えてできる減価償却)と10%の税額控除が選択できます。資本金3億円以下の法人はリース料の6%の税額控除ができます。
- 開発研究用設備(試験又は測定機器、汎用工作機械等で280万円以上のもの)について購入価額の50%の特別償却ができます。
- ●同族会社の留保金課税の停止
- 資本金1億円以下で自己資本比率が50%以下の法人については、かなり利益がでた場合に追加でかかる税金がかかりません。
- ●交際費等の損金不算入
- 交際費の20%が損金になりませんでしたが、これが10%に引き下げられました。また、資本金5千万円超1億円以下の法人に400万円の定額控除が認められます。
- ●少額減価償却資産の即時償却
- 30万円未満(現行10万円未満)の減価償却資産を取得した場合、全額損金算入されるようになりました。この改正は重要です。
- ●相続税・贈与税率の引き下げ
- 相続税と贈与税の最高税率が70%から50%に引き下げられます。
- ●相続時精算課税制度の創設
- 65歳以上の親から20歳以上の子へ生前贈与する場合、2,500万円まで非課税とし、超えた額に対して20%の贈与税を課します。そして、親が死亡した時の相続税の計算で生前贈与した財産も含めて税金の再計算をして精算する制度ができました。
- なお、子が住宅を取得するための親からの生前贈与については、親の65歳以上という要件はなく、かつ3,500万円まで非課税となります。
- ●株式、配当、投資信託の税率
- 税率を20%に統一しますが、当初5年間は10%とします。
- ●その他の改正
- 住宅ローン減税での転勤者の扱いが変わり、登録免許税と不動産取得税の税率の引き下げ、特別土地保有税の課税停止、新増設にかかる事業所税の廃止などがあります。
3.平成16年から適用される改正
- ●配偶者特別控除の廃止
- 最高38万円の所得控除が廃止されます。
- ●外形標準課税の導入
- 資本金1億円超の会社に利益以外の基準で税金をかけます。
- ●消費税の内税表示
- 消費税込で105円と価格表示します。
- ●消費税の免税点の引き下げ
- 前々年売上高1千万円以下で消費税が免税になります。
- ●簡易課税制度
- 前々年売上高5千万円以下で簡易課税制度を選択できます。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修