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損益分岐点

第097_2号 2002年5月

損益分岐点とは損益がちょうどトントンとなる売上のことです。会社の営業活動がはたして採算がとれているかどうかを分析するものです。

1.変動費と固定費

損益がトントンになるとは売上高と総費用が同じということです。そこで損益分岐点を求めるためにまず総費用を変動費と固定費に分類します。

① 変動費
売上が増加すればその費用も増加し、売上が減少すればその費用も減少するような費用です。つまり売上の変動に比例する費用ということです。
たとえば、原材料費、外注加工費、商品仕入高などは変動費の代表的なものです。
② 固定費
売上の変動に関係なく発生する費用です。たとえば、支払利息、支払賃借料、減価償却費などです。
労務費、給料手当などは固定費である場合が多いのですが、歩合給、出来高給のものがあればその部分は変動費になります。

2.損益分岐点の公式

損益分岐点の公式は次の通りです。

固定費÷(1-変動費/売上高)

損益分岐点は売上高=総費用 となるものです。総費用を変動費と固定費に分類したのですから、

売上高=変動費+固定費

売上高-変動費=固定費 となります。

つまり売上高から変動費を差し引いた金額が固定費と同額になる点が損益分岐点なのです。

公式で「変動費/売上高」というのは変動費が売上高に占める割合つまり変動費率です。

「1-変動費率」は総費用の変動費以外の比率つまり固定費率ということです。

損益分岐点の公式は要するに売上高と総費用が同額のときに固定費を固定費率で割り戻して総費用と同額である売上高を求めているのにすぎません。

3.事例

販売業の場合のごく単純な事例でみます。

  • 変動費 商品仕入高(正確には売上原価)のみとします。
  • 変動費率 売上原価率が80%とします。
  • 固定費 給料等、自社の固定費を集計します。ひと月当り合計で100万円とします。
  • 損益分岐点は
    100万円÷(1-80%)=500万円

つまりひと月当り500万円の売上で固定費をちょうどまかなえて損益がトントンとなるわけです。利益を出すには500万円以上の売上が必要と判断できます。

損益分岐点は利益計画にも活用できます。上記の事例でひと月当り50万円の利益を出す場合の売上高を求めるには固定費に利益を加えて

(100万円+50万円)÷(1-80%)=750万円

つまり50万円の利益を出すにはひと月当り750万円の売上が必要になるわけです。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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