新証券税制
第090_1号 2001年10月
1.はじめに
株価てこ入れのために与党が証券税制の改正案を固め、11月にも実行されることが決まりました。以下解説いたします。
2.改正内容
- ①源泉分離課税
- 源泉分離課税とは株式の売却額に1.05%を乗じた税金を売却代金から差引かれることにより納税が完結する課税制度で、確定申告が必要ありません。現在では納税者の約70%強の人が利用している制度ですが、14年で廃止となります。
- ②申告分離課税の税率引下げ
- 申告分離課税とは株の買った値段と売った値段との差である売却損益に現行では26%の税率で課税される制度で、確定申告が必要となります。この税率が、15年より20%となります。
- また、3年間の時限措置として1年を超えて保有した上場株式だけ15年~17年の間は税率を更に下げて10%とします。
- ③100万円控除
- 1年を超えて保有した上場株式の売却益から最高100万円を控除する制度ですが、この制度の適用が17年まで延長されました。
- ④4急投資優遇制度
- 改正法の施行日から来年末までに購入した上場株を保有し続け、17年~19年の3年間の間に売却した場合に限り、購入額1千万円を上限に非課税となります。 「税金を払わなくていいから今年末のボーナス時期から来年いっぱい株をたくさん買ってくれ」ということです。
- ⑤損失の繰越控除
- その年の株の売却損(売却益と相殺後)を翌年から3年間の売却益と相殺できる制度です。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修