平成13年度の税制改正でかなりのボリュームを占めるのが企業再編税制です。企業再編税制の元となっているのが商法に規定されている株式交換・移転や会社分割の制度です。税制を理解するための前提としてそのポイントを見ていきましょう。
簡単に言えば、会社の買収などを円滑化するために、ある会社を100%子会社(完全子会社という)化するための制度です。
A社をB社が完全子会社にしたい場合にA社の株主の持ち株とB社が新たに発行する株式とを交換するのです。
B社はA社の100%親会社(完全親会社という)となり、従来A社の株主だった者はB社の株主となります。
株式交換制度と違う点はA社を完全子会社にするのに新たにB社という会社を設立することです。A社の株主の持ち株とB社が新たに発行する株式とを交換する点は変わりません。
新たに持ち株会社を設立する場合などに利用されます。
この制度は平成12年度の商法改正ですが平成13年4月から施行されます。
会社分割とは1つの会社だったものをある営業部門を独立させて、2つ以上の会社にすることです。新設分割と吸収分割の2つに分けられています。
商法では、会社はその営業の全部又は一部を新たに設立する会社に承継させるため、新設分割をすることができると規定しています。(商法373条)
商法では、会社はその一方の営業の全部又は一部を他方に承継させるため、吸収分割をすることができると規定しています。(商法374条の16)
企業再編税制は法人税、所得税、その他の税金の取り扱いに関わりますが、その中心となるのは法人税上の再編による資産移転の際の譲渡損益の取り扱いです。
一定要件を満たす「税制適格」の再編は譲渡損益の課税の繰り延べが適用され、「税制非適格」の再編は原則的に譲渡損益が課税される取り扱いとなります。
企業再編税制の詳細についてはまたの機会に採り上げたいと思います。
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