アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

12年分所得税の改正点

第080_2号 2000年12月

1. 年少扶養親族の割増特例の廃止

 

平成11年分においては年少扶養親族(満16歳未満の扶養親族)の扶養控除額は一般の扶養控除額38万円に10万円を加算した48万円でしたが、平成12年分については元にもどって38万円です。

 

ただし、次の場合には平成12年分であっても改正法の施行日前(平成12年3月31日以前)ということで改正前の48万円が適用できます。

  • 平成12年3月31日以前に年少扶養親族に該当する者が死亡した場合。この場合年少扶養親族に該当するかどうかは死亡の時点で判定します。
  • 平成12年3月31日以前に年少扶養親族を有する者が死亡した場合または出国した場合。

2. 青色申告特別控除額の引き上げ

不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者は青色申告の特典として青色申告特別控除額を所得金額から控除でき、その分所得税が軽減されます。

今まで最高額が45万円であったのが平成12年分から55万円に引き上げられます。その取り扱いは次の通りです。

55万円の控除額が適用される場合

取引の内容を「正規の簿記の原則」に従って記帳しその記録に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに期限内の確定申告書に添付した場合。

「正規の簿記の原則」とは複式簿記を意味します。現金出納帳や売掛帳、買掛帳などの補助簿のほかに、取引を借方、貸方で仕訳をして主要簿である仕訳帳(伝票でも可)と総勘定元帳を作成しなければなりません。添付される貸借対照表及び損益計算書はこの総勘定元帳から集計されることになります。

パソコン会計を採用している場合は複式簿記がシステムに組み込まれていますから当然正規の簿記の原則に従うことになります。

45万円の控除額が適用される場合

「正規の簿記の原則」に従わないで、簡易な簿記の方法によって記帳し、その記録に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに期限内の確定申告書に添付した場合。

簡易な簿記とは現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの補助簿のみの記帳による場合です。貸借対照表は各勘定科目のうち年末残高の明らかなものをできるだけ記入して作成することになります。

10万円の控除額が適用される場合

上記1、2以外の場合です。具体的には簡易な帳簿による記帳をして損益計算書のみを添付し、貸借対照表を添付しなかった場合です。

3.その他の改正点

パソコン減税の延長

取得価額100万円未満のパソコン等を取得して事業の用に供した場合には全額経費に落とせるといういわゆるパソコン減税措置が1年延長されて平成13年3月31日までとなりました。

介護保険料

平成12年4月に導入された介護保険制度に基づく介護保険料も社会保険料控除の対象となります。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

 無断転用・転載を禁止します。