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会計学の話 その1

第075_1号 2000年7月

1.はじめに

大学の授業に「会計学」と「簿記論」がありました。

簿記論は道具で会計学はその道具をどのように使えば正しい利益が出るのかを導く学問のようです。

日々の会社の経理においても、この会計学の基礎知識が必要となります。以下簡単に説明致します。

2.費用収益対応の原則

この原則は会計学の大原則です。

会社の決算は1年間にいくら儲かったかを正確に計算することです。

つまり、1年間の売上と経費を集計して差額である利益を計算することが目的です。

費用収益対応の原則とは1年間の売上高と経費が相互に対応関係にあることが必要だということを言っています。


具体的には、一軒の家を建てるのに大工さん3人を外注で使って工事を受注したとします。

(設例)3月決算

  • 当初資金はなし
  • 受注金額         3千万円
  • 外注費(大工さん3人分) 2千万円

建物の完成は5月ですが、大工さんには3月までに1千万円外注費を払っているとします。

この状態で3月決算を組むと、大工さんに支払った外注費1千万円が計上されます。他に何もないとして、この会社は外注費1千万円だけの計上で、同額赤字となってしまいます。お金の動きとしては1千万円支払ったのですから1千万円の赤字で理解できます。

(貸借対照表)  (損益計算書) 
売上 ゼロ
外注費 1千万円
現金  △1千万円 利益 △1千万円

しかし、正しい利益を算出する会計学の下では、この1千万円の外注費を仕掛品(未成工事支出金)として次の期に資産として繰越し、建物が完成して売上が計上される次の期の外注費として計上するのです。

(貸借対照表)  (損益計算書) 
売上 ゼロ
現金  △1千万円 外注費 ゼロ
仕掛品 1千万円 利益 ゼロ

次の期では売上が3千万円計上され、残りの外注費の支払1千万円と前期に支払って仕掛品として繰り越された1千万円の外注費の合計2千万円が計上され、利益は売上3千万円マイナス外注費2千万円の1千万円となります。費用と収益が対応した正しい利益です。

(貸借対照表)  (損益計算書) 
売上 3千万円
外注費 2千万円
現金  1千万円 利益 1千万円

3.最後に

費用はそれに対応する売上と同時期に計上するというのが費用収益対応の原則です。

税務調査も必ずここを攻めてきます。

決算をまたぐ売上の計上がある場合には常に売上との対応で経費を計上するよう注意しましょう。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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