交際費
第074_1号 2000年6月
1.交際費とは
税法では、交際費を
「交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、 法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために 通常要する費用その他政令で定める費用を除く。) をいう。」
と定めています。抽象的な表現ですが、以下具体的に検討してみましょう。
2.交際費の税務上の扱い
- ①支出した交際費の20%は経費となりません。
- ②資本金1千万円以下の法人は400万円超の交際費は全額経費となりません。
- ③資本金1千万円超5千万円以下の法人は300万円超の交際費は全額経費となりません。
- ④資本金5千万円超の法人は交際費全額が経費となりません。
3.交際費と寄付金
- ①政治団体に対する拠出金 → 寄付金
- ②神社祭礼等の寄贈金 → 寄付金
- ③政党主催のパーティー券の購入費用
パーティーに参加すれば交際費部分もあるが、参加しなければ寄付金。
- ④得意先の被った貸倒損失を肩代わりした金額 → 寄付金
4.交際費と会議費
- ① 酒類を伴う会議
- お茶代わりにビールや酒をコップ1~2杯程度飲んでも通常の会議費の範囲を超えないがきり交際費にはなりません。
- ② 会議費は一人当たり3千円程度
- 明確な規定はないのですが、実際の税務調査で機械的に3千円を境に交際費と会議費を分けられた事例があります。
5.交際費とその他の費用
- ①業務上の交通事故被害者に対するお見舞い → 交際費
- ②販売先を紹介してくれた取引銀行に対する謝礼金 → 交際費
- ③建設業者が工事の入札等に際して支出する談合金 → 交際費
- ④ペーパージョイント・ベンチャーに支払う利益保証金 → 交際費
- ⑤特許権の申請が競合している相手先に申請を取下げてもらうにあたって支払う対価 → 特許権の買取に準じたものとして、特許権として資産計上
- ⑥接待ゴルフのゴルフ場利用税 → 交際費
- ⑦接待用のモーターボートを買った場合 → 固定資産として計上されます。
- ⑧祭礼に当たっての社名入り提灯を寄贈した場合の費用 → 金銭を寄贈すれば寄付金となるが、社名入り提灯であれば広告宣伝費
- ⑨得意先のゴルフコンペに寄贈する社名入り優勝杯の費用 → コンペ自体が一般消費者に対するものでなく、取引関係者だけが対象であるため広告宣伝費ではなく、交際費となります。
(参考文献:「問答式 交際費・リベート等の税務と会計」森田政夫著)
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修