主な12年度税制改正点
第070_1号 2000年1月
1.法人税関係
- ①パソコン税制
- 100万円未満のパソコン等の情報通信機器を一度に損金処理できるパソコン税制の期限が1年延長され、平成13年3月31日までとなりました(個人事業者についても同様です)。
- ②社内LANの「ファイアー・ウォール」
- 中小企業が自社の顧客データ等を守るために、社内LANなどに取り付ける「ファイアー・ウォール」等の不正アクセス対策用設備について、取得価額の20%の特別償却を認める処置が設けられました。
- ③ソフトウエア
- ソフトウエアを他社から購入または製作を委託していた場合には、繰延資産に計上して5年間にわたって償却していました。また、自社で開発・製作したソフトウエアは資産計上せずに一時の損金とされていました。
- 以上の現行の処理に対し、12年4月からは、他社購入または自社開発にかかわらず、ソフトウエアは無形固定資産として資産計上し、以下の償却が定められました。
- 複写して販売するための原本となるソフトウエア ・・・3年
- 研究開発用 ・・・3年
- 自社利用など上記以外のもの・・・5年
2.所得税関係
- ① 住宅ローン控除
- 平成12年までの適用とされてた、拡充住宅ローン控除の適用が平成13年6月30日までの間に居住すれば適用されるよう、適用期限が延長されました。
- ② 年少扶養控除の控除加算の廃止
- 11年度に手当てされた16歳未満の被扶養者に対する扶養控除(年少扶養控除)の控除加算10万円が12年度は廃止されました。つまり、元の38万円となります。
- ③ 青色申告特別控除
- 正規の簿記の原則に従って記録している者にたいする控除額が10万円引き上げられて55万円とされました。簡易な簿記の方法により記録している者にたいする控除額は現行どおり45万円です。
- 「正規の簿記の原則に従った記録」と言っても何だかよく分かりませんが、市販の会計ソフトにデータを入力して,アウトプットされた青色決算書を利用すればこの要件は満たされます。
3.相続・贈与税関係
非上場株式の評価方法が変更されました。
非上場株式とは取引所に公開されていない、いわゆる中小企業の株のことですが、相続による事業承継がし易いよう、非上場株式の相続税評価額計算方法が変更されました。
4.確定拠出型年金税制
新しい年金制度である確定拠出型年金税制の掛け金に対する扱い等が新たに決められました。
つまり、現行の社会保険料控除のような取扱に対する決め事です。
-(週間税務通信 税務研究会発行 参照)-
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修