国税庁が発表した平成10年度の法人税の申告状況によると黒字申告割合が過去最低の31.6%だそうです。
つまり赤字申告法人が68.4%ということで、実に申告した全体の法人の7割近くが赤字申告ということになります。
赤字申告は会社の赤字決算に基づきますが、ひとくちに赤字決算といってもそれは一様なものではありません。ちょっと風邪をひいたくらいなものから危篤状態のものまであります。赤字の企業が多数派となっている今の状況でその診断を的確に行なう必要があります。
赤字決算の程度を見るには決算書の貸借対照表における資本の部に注目してください。資本の部は次のような構成になっています。
当期において赤字が出ても過去の利益の蓄積がたくさんあれば、剰余金が減少したにとどまります。会社としてのダメージはまだ軽いといえます。
当期の損失が過去の利益の蓄積額を上回る場合には、もはや剰余金はないことになります。剰余金を上回る赤字は欠損金と呼ばれます。
欠損金が法定準備金を上回って資本金に食い込んだ状態が資本の欠損といわれます。株主が出資した元手が減少したことになります。
さらに欠損金が大きくなって資本金を上回った状態が債務超過なのです。出資した元手はすべて失われ、会社の資産より負債が多い状態です。
資本の欠損の場合には株主の立場として、憂慮すべき問題となりますが、債務超過の場合には会社の資産だけでは負債は返済できないわけですから会社の債権者にとっても深刻な問題となるわけです。
会社はまさに危篤状態ということになります。
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