育児・介護休業制度
第063_2号 1999年6月
はじめに
育児・介護休業制度はすでに全面的に事業主に義務付けられています。
就業規則の見直しにおいて重要なポイントになります。
1. 育児休業制度の概要
- ①育児休業がとれるのは、一歳未満の子を養育する男女労働者です。
- ②育児休業を申し出るには、事業主に「育児休業申出書」を提出しなければなりません。希望どおりの日から休業を開始するには、1ヵ月前(突発的な理由の場合は1週間前)までに申し出る必要があります。
- ③育児休業できる期間は原則として、子が出生した日から一歳になるまで(誕生日の前日)の間で、労働者が申し出た期間です。一人の子につき一回取得可能です。
2.介護休業制度の概要
- ①介護休業がとれるのは、常時介護を必要とする家族を介護する男女労働者です。
- ②介護休業の対象となる家族の範囲は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、および同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫です。
- ③介護休業を申し出るには、事業主に対して休業開始日の2週間前までに「介護休業申出書」を提出しなければなりません。
- ④介護休業できる期間は、連続する3ヵ月を限度として、労働者が申し出た期間です。対象家族一人につき一回休業することができます。
3.勤務時間の短縮等の措置
次のような措置を実施して育児、介護のための便宜を図ることも必要となります。
- ①短時間勤務制度
- ②フレックスタイム制度
- ③勤務時間の繰り上げ・繰り下げ
- ④所定外労働の制限
- ⑤保育施設の設置運営等
- ⑥介護サービス費用の助成等
4.雇用保険の給付金
休業期間中の給料を無給にするか減給にするか雇用保険の給付と合わせて考慮しましょう。
① 育児休業基本給付金
事業主から育児休業した労働者に支払う給料が休業前の給料の60%以下の場合は、休業前給料の20%を休業期間中に支給される。事業主からの支払額が多くなるにつれて支給額は減額される。
② 育児休業者職場復帰給付金
育児休業が終了した後、同じ事業主に被保険者として6ヵ月雇用され続けた場合に一時金として休業前の一ヵ月分の給料の5%に育児休業した月数を乗じた金額が支給される。
③ 介護休業給付金
事業主からの給料支払額が休業前の給料の55%以下の場合、休業前の給料の25%が支給される。事業主からの支払額が多くなるにつれて支給額は減額される。
5.雇用保険の助成金
次のような助成金制度も大いに活用したいものです。
- ①育児・介護費用助成金
- ②事業所内託児施設助成金
- ③育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金
6.その他の支援制度
育児休業については、社会保険料の免除や住民税の徴収猶予の制度があります。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修