平成10年4月1日以後に開始する事業年度から、交際費に対する法人税の課税が強化されます。
今まで交際費について、資本金が1,000万円以下の法人については400万円、資本金が1,000万円超5,000万円以下の法人については300万円までの金額については、その金額の90%を損金に認められていました。
今回90%が80%に引き下げられました。たとえば今までは、資本金1,000万円の法人が、年間300万円交際費を使ったとした場合、その10%の30万円が損金に落ちないことになりますが、改正後は20%の60万円が損金に落ちないことになります。交際費のワクである400万円あるいは300万円以内であってもその2割は課税対象となり、その課税対象額の約40%くらいは法人税等として税金を負担することになります。
交際費として処理するかどうかは、上に述べたとおり、税金に直接関係してきます。税金をできるだけ少なくするために、つぎのような交際費に類似する費用で、交際費とならないものは適切に判断して科目処理しなければなりません。
会議に際して、社内または通常会議を行う場所において通常供与される昼食程度(おおむね2,500円以内)をこえない飲食等の費用。ただし内容的に懇親会であるものは交際費となります。
取引の仲介者に対し、あらかじめ契約した内容に基づいて、支払われる役務の対価。
ただし、契約に基づかない単なる謝礼金に該当するものは交際費となります。
一般従業員を対象として通常行われるもの。
ただし部課長等特定の従業員だけで行うものは交際費となります。
自社の従業員に対して、一定の基準により、支給するもの。ただし得意先等社外の者に対するものは交際費となります。
金銭もしくは事業用資産の交付または購入単価が3,000円以下の物品。ただし上記以外の物品または旅行、観劇等への招待は交際費となります。
不特定多数の一般消費者を対象として行うもの。ただし一般消費者以外の特定の者を対象とすると交際費となります。
交際費は今まででも、税務調査において必ずチェックされるポイントでしたが、課税が強化されてますます重要視されるようになるでしょう。
交際費とその他の費用と明確に区分できるものはよいのですが、不明確なものについては、支出時においては会議費や福利厚生費などに処理したとしても、決算時において合理的な計算根拠に基づいて、その何パーセントを交際費として処理しておくといったようなきめの細かい会計処理を心がけることが大切です。
決算で予想外の利益が出そうな場合、従業員に対して決算賞与として支給することがあります。「税金でもって行かれるより、従業員に還元した方がいいや!」といった事で決 算賞与が出されることが間々あります。
しかし、なかなか決算期内で決算賞与を支給することは難しく、どうしても決算日後に支給するケ-スが多くなります。要は決算で未払賞与を計上して賞与を損金で計上してお き、決算後に支給するケ-スです。未払賞与を計上できる要件は決算期末で各人毎の支給額が確定していてかつ各人にその旨通知されていることです。つまり、債務が確定していることが必要です。4月1日以降開始する事業年度では税制改正により、上記の要件に加えて、決算日後1ヶ月以内に支給する事が必要とされました。
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