平成10年度税制改正(法人課税)
第048_1号 1998年1月
1.法人税率の引き下げ(資本金1億円以下)
法人所得 |
現 行 |
改正案 |
800万円以下 |
28% |
25% |
800万円超 |
37.5% |
34.5% |
地方税である法人道府県民税・市民税は法人税が課税標準なので連動して減額されます。
2.法人事業税率の引き下げ
現 行 |
⇒ |
改正案 |
法人所得 |
税 率 |
法人所得 |
税 率 |
350万円以下 |
6% |
|
400万円以下 |
5.6% |
~700万円以下 |
9% |
~800万円以下 |
8.4% |
700万円超 |
12% |
800万円超 |
11% |
3.引当金
- ①貸倒引当金
- 資本金1億円以下の中小法人は現行どおり。
- ②賞与引当金
- 5年間で段階的に廃止する。ただし、事業年度末までに賞与の額が受給者に通知され、1ヶ月以内に支払われるものは、未払費用として損金算入できる。
- ③退職給与引当金
- 累積限度額を期末要支給額の20%(現行40%)に5年間で段階的に移行する。
- ④製品保証引当金
- 5年間で段階的に廃止する。
4.減価償却
- ①新たに取得する建物の償却方法は定額法
現行は定率法との選択ができ、定率法の方が節税効果が大きかった。
- ②建物の耐用年数を短縮する。
最長65年を50年とする。
- ③経費で落とせる取得資産の基準を20万円未満から10万円未満に引き下げる。
パソコンも10万円未満でなければこれからは経費で落とせません。資産計上が必要となります。
10万円以上20万円未満の資産は3年間で償却することができる。
- ④2分の1簡便償却制度を廃止する。
決算日ぎりぎりで取得した車両等は、年間償却額の2分の1減価償却できましたが、今後は1ヶ月分だけの償却となります。
5.交際費の損金不算入割合が10%から20%に
支出交際費の20%が交際費の枠内(資本金1千万円以下は400万円、それ以上5千万円以下は300万円)であっても経費として認められません。
6.役員の親族である使用人に対する過大な給与は損金不算入
役員でなくても身内の人に対する過大給与は過大役員報酬と同様に扱う規定です。
7.役員報酬の損金算入は、損金経理が条件に
役員報酬は帳簿上で役員報酬として経費処 理しなければ経費と認めないという規定です。
税務調査で役員に毎月一定額の金銭が会社から帳簿外で何らかの理由で渡されていても、今までの規定では、遡って役員報酬と認められ、法人税法上損金となりましたが、今後は認められません。
8.地価税の適用停止
9.法人の土地重課制度の廃止
法人の土地売却益に対して、長期(5年超)5%、短期(2年超5年以下)10%、超短期(2年以下)15%の追加課税が適用停止又は廃止されました。
10.法人の新規取得土地等にかかる負債利子の損金算入制限措置の廃止
土地取得に対応する借入金利子の4年間損金不算入の規定が廃止されました。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修