橋本首相が、2001年までに大規模な金融制度改革を実現することを、一般に金融ビッグバンと呼んで、マスコミにおいても、たびたび取り上げられています。
ビッグバンという言葉は、もともと天文学上の用語で、宇宙誕生の際の大爆発を意味しています。そのような大爆発に匹敵するような大改革が行われるということです。
具体的な改革の中味は、金融においてのかなり専門的な数多くの項目から成っており、一般の人にとっては、なかなか分かりにくいものとなっています。
ここでは、そのうち我々にとって身近と思われる幾つかの項目について述べてみましょう。
これは、銀行、証券会社、生命保険、損害保険などの金融機関の各業務の垣根を取り払って、各業態が相互に乗り入れをするということです。
たとえて言えば、一つの金融機関で預金ができることはもちろん、株式投資もでき、生命保険に入ることもできるということです。
現在でも銀行が証券子会社を作ったり、証券会社が信託子会社を作ったりして、一部相互参入がおこなわれていますが、まだ、かなり規制されている形なのです。それを将来、完全な自由化を実現させていこうというわけです。
こうなると、これに対応できない金融機関は衰退していかざるをえないことになります。
来年の4月から改正外国為替法(外為法)が施行されます。今まで海外との資金のやり取りが外国為替銀行など一部の金融機関を仲介しなければいけなかったのが、個人でも、企業でも自由に行うことができるようになるのです。
今の法律では、例えば外国旅行で持ち帰った外貨を誰か他の人に売るようなことをすると違法行為となり、懲役3年以下という罰を受けてしまいます。そこで為替銀行などで外貨を円に換えるわけですが、その際には手数料を取られることになります。
この改正で、自由に仲介業務ができるようになります。旅行会社や近くのコンビニでもやろうとすれば可能なのです。
また、外国の銀行のサービスも自由に受けることができるようになります。外国の銀行にドル建てでも、円建てでも預金ができ、外国の銀行や証券会社から株や債権を買うのも自由となります。
日本の金融機関は、この外為法の改正により、外国の金融機関との競争にも直面しなければならないことになるわけです。
大蔵省が金融機関の信頼性を維持するため「早期是正措置」という検査・監督制度を導入しようとしています。これは金融機関の自己資本比率などの経営指標により経営内容を評価し、一定基準に満たないものは、最悪の場合、業務停止命令が出されるというものです。
国内の金融機関同士の競争、外国金融機関との競争、そして、経営内容の悪いものは淘汰されていくとなれば、我々預金者の立場としては、自分の大事なお金をどの金融機関にどのように運用していくか、その自由度は増すにしろ、それだけ大いに迷うことになります。
その判断を誤れば、利益は保証されず、損失を被ります。つまり全て自己責任となります。個人個人において確かな情報を集め、的確な判断をすることがこれから強く求められます。
無断転用・転載を禁止します。