ある企業が経営活動によって、新たに生み出した価値をその企業の付加価値といいます。この付加価値の計算は正確にはちょっと面倒なので、ここではおおざっぱに考えます。その企業の付加価値は、売上高から、外部から購入した価値すなわち、仕入高、あるいは材料費および外注費といったものを差し引いたものと考えてください。損益計算書の売上総利益がだいたいそれに相当することになります。
この付加価値が、人件費、金融費用、税金、賃借料、減価償却費などに分配され、最後に企業の取り分としての利益に分配されるのです。
生産性を高めるということは、この分配するパイとしての付加価値を高めていくことです。分配するパイが大きくなれば、働く人の取り分の割合である労働分配率、企業の取り分である経常利益分配率が一定であっても、その取り分自体は大きくなりますので、双方にとって結構なことになるわけです。
生産性は一般に労働生産性として表されます。
すなわち一人当たりの付加価値です。この式はさらに次のように分解できます。
この式は、一人当たりの付加価値を高めるには、一人当たりの売上高を高めるか、付加価値率を高めることをしなければならないことを示しています。
労働生産性を高めるには、一人当たり売上高を高めるか、付加価値率を高めるか、どちらか一方、あるいは両方の要素によってもたらされます。
ということが必要です。
このための方策としては、新製品の開発、新市場の開拓、製品の改善による差別化、営業マンの教育訓練による販売力の強化、間接人員の削減などが考えられます。
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