「貯蓄から投資へ」を抜本的に進めるため、令和6 年1 月からNISA(少額投資非課税制度)が新しくなりました。年間投資枠を大幅拡大、非課税保有期間の無期限化、そして、制度が恒久化されます。
令和5 年9 月末時点での総口座数は約2,139 万であり、おおよそ6 人に1 人がNISA 口座を持っていることになります(出所:金融庁)。
NISA は少額の投資を行う人のために平成26 年にスタートした制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
一方で、NISA 口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になります。ただし、NISA 口座で投資できる上限金額は決まっています。
NISA は制度開始以降、平成28 年にはジュニアNISA、平成30 年にはつみたてNISA がスタートし、今までは3 つの種類がありました。
令和6 年1 月以降は、利用数が少ないジュニアNISA を廃止し、つみたてNISA を引き継ぐ「つみたて投資枠」と一般NISA を引き継ぐ「成長投資枠」が設けられました。対象年齢を18 歳以上とし、制度(口座開設期間)の恒久化とともに、非課税保有期間が無期限となります。
「つみたて投資枠」の年間投資枠は120 万円、「成長投資枠」の年間投資枠は240 万円と大幅に拡大し、また、両者の併用が可能となったため、最大で年間360 万円まで投資できます。
ただし、富裕層優遇とならないよう、新たに1,800 万円の非課税保有限度額が設けられ、成長投資枠で利用できるのはそのうちの1,200 万円となるため留意が必要です。
なお、限度額がいっぱいになったとしても、NISA で購入した商品を売却すれば、翌年以降その分の枠が復活し、再投資が可能となります。
NISA については「利益が出ても非課税」というのが前面に押し出されていますが、当然に損失が生ずることもあります。では、損失が出た場合はどうなるのでしょうか?
NISA 口座で損失が発生した場合、その損失はないものとされるため、特定口座や一般口座で保有する他の株式等の配当金や売却益等との損益通算はできません。また、損失の繰越控除(3 年間)もできないため留意が必要です。
NISA を利用するには、銀行や証券会社などにNISA 口座を開設する必要があります。口座はすべての金融機関で1 人につき1 口座のみとなることから、開設にあたっては二重口座でないことを確認するため、税務署の審査があります。
金融機関によって、取扱商品・手数料・サービス(ポイントなど)が異なります。金融機関の変更は可能ですが、よく検討の上、選択しましょう。
資産形成の基本として、「長期・積立・分散投資」ということが言われますが、これを機に老後のための資産形成を少し考えてみてもいいかもしれません。
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