米国のバイデン政権は、巨額のインフラ投資計画の財源を確保するため、今後、連邦法人税の税率を25~28%に引き上げることを表明しました。
2018 年にトランプ前政権が21%へ引き下げるまで、米国は長い間、35%の税率を維持していました。
英国も50 年ぶりに、現在の19%の法人税率を、2023 年に25%へ引き上げることを発表しており、今後、世界的な税率引き下げの流れが止まる可能性があります。
近年、各国の法人税率の引き下げ競争が進んでいますが、法人税率のみならず、国際的な税率比較で用いられる数値として「実効税率」というものがあります。
実効税率とは、法人利益に対する税率(国税・地方税)を指し、法人の実質的な税負担率を示した数値となります。
2021 年1 月時点で日本の法人実効税率は29.74%、米国は27.98%、英国は19.0%となっています(出所:財務省)。
現状、日本は米国や英国のように法人税率引き上げといった具体的な発表はされていません。
そこで、今回は現状、法人の利益に対しては、どのような税金が掛かり、どのぐらいの負担割合(税率)になっているか、確認することとします。
法人が利益(所得)を出すと大きく分けて、法人税、住民税、事業税の3 種の税金が掛かり、前述の「実効税率」はこれらの合計税率を指します。
以下、東京都の中小企業を例に挙げ、住民税、事業税は標準税率を適用した場合をご紹介します。
国に納付する税金で、細かくは「法人税」と「地方法人税」があります。
■法人税 |
所得×23.2% (年800 万円以下の所得は15%) |
■地方法人税 | 法人税×10.3% |
都道府県(市区町村)に納付する税金で、細かくは「法人税割」と「均等割」があります。
■法人税割 | 法人税×7.0% |
■均等割 | 7 万円(最低金額) |
都道府県に納付する税金で、細かくは「事業税」と「特別法人事業税」があります。
■事業税 | |
・年400 万円以下 | 所得×3.5% |
・年400 万円超800 万円以下 | 所得×5.3% |
・年800 万円超 | 所得×7.0% |
■特別法人事業税 | 事業税×37% |
経済協力開発機構(OECD)が進める国際課税ルールの協議では、法人税に世界共通の「最低税率」を導入するなどの議論が進んでいます。
2021 年半ばの合意を目指しているとのことですので、今後の動向を注視したいと思います。
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