令和最初の税制改正大綱が 12 月 12日に発表となりました。「2,000 万円不足問題」で注目された老後の資金づくりを後押しする制度改正などが盛り込まれました。
大企業が設立 10 年未満の一定の非上場企業に1 億円以上出資したら、出資額の 25%相当を所得金額から差し引いて税負担を軽くする制度が創設されました。中小企業が出資する場合も 1 千万円以上の出資であれば制度の対象となります。
企業グループを一体とみなして法人税を計算する連結納税制度は、2002 年に創設されました。
名称を「グループ通算制度」として、現在は親会社が全体を取りまとめて申告・納税しているところを、グループ会社各社がそれぞれ単体で申告・納税するように改められました。
資本金 1 億円超の法人については、接待などで使った 1 人当たり 5 千円を超える飲食費について、その半分を損金計上することが認められていますが、資本金 100 億円超の大企業については適用できなくなりました。中小企業向け減税措置(年800 万円の控除枠)については継続となります。
個人が海外の中古建物を購入した場合、通常より短い年数で減価償却による早期費用化が可能となっており、これによって、不動産所得の損失と他の所得(給与所得)とを損益通算するという節税スキームがありました。
これを防止する観点から、令和 3 年以後の各年において、海外不動産所得の損失のうち、海外中古建物の償却費に相当する金額は、所得税の計算上、生じなかったものとみなされます。
配偶者と離婚・死別した世帯が対象の「寡婦(夫)控除」について未婚のひとり親も適用できるようになりました。最大 35 万円の所得控除となります。この改正は、令和 2 年分以後の所得税について適用となります。
法人税の申告期限を延長している法人について、消費税の確定申告書の提出期限を 1 月延長できる特例が創設されました。
この改正は、令和 3 年 3 月 31 日以後に終了する事業年度から適用となります。
「人生 100 年時代」を見据え、確定拠出年金につき、現在は原則 60 歳までになっている掛金の拠出期間を企業型は 70 歳、個人型(イデコ)は65 歳まで延ばします。
所有者が不明となっている土地で、実際に使われている土地については、その使用者に固定資産税を課すことができるようになりました。
居住用賃貸建物の課税仕入れについては、仕入税額控除の適用を認めないこととされました。令和 2 年 10 月 1 日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について適用されます。
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