消費税率が 10 月1日より 8%から 10%に引き上げられます。計算しやすくはなりますが、税率が高い分、我々専門家にとっては重要度が増す税目となります。今回は、消費税の納税額を計算するにあたって必要となる仕入税額控除について説明いたします。
消費税の納税義務のある課税事業者は、次の計算式により消費税の納税額を計算します。
売上に係る消費税とは、売上代金とともに預かった消費税で、仕入税額控除とは商品仕入や車両の購入、家賃の支払いなどで支払った消費税のことを言います。
課税事業者が、1,000 で仕入れたものを 1,500で販売したケースを考えます。税率が 8%の場合、売上に係る消費税は 120 で仕入税額控除は 80 となり納税額は 40 となります。
税率が 10%になっても売上に係る消費税は150、仕入税額控除は 100 で納税額は 50 となります。納税額は 1.25 倍になりましたが、事業者は税率アップ分だけ多くもらって多く払っているだけで懐は痛みません。
最終消費者もスーパーで買った商品に係る消費税を、会社からもらっている給与にかかる所得税から控除できれば懐は痛みません。しかし、残念ながら最終消費者は仕入税額控除ができませんので、税率アップ分懐が痛むわけです。
免税事業者とは、売上規模が小さい等の理由で消費税の納税を免除されている事業者のことです。
事業者が免税事業者であるかどうかは誰もうかがい知れないので、免税事業者であっても消費税を請求して受け取っているケースは普通にあります。
免税事業者が、1,000 で仕入れたものを 1,500で販売して消費税 10%を請求すると、150-100=50 の納税額が計算されますが、納税義務はありませんので、50 は免税事業者の利益となります。
現行の消費税の扱いでは、免税事業者からの仕入や外注費の支払いであっても、課税事業者は消費税の計算で仕入税額控除できるので、特に問題は起きません。
しかし、適格請求書がないと仕入税額控除をすることができなくなると、問題が起きてきます。
なぜなら免税事業者は適格請求書を発行することができないからです。
適格請求書の導入により免税事業者からの仕入税額控除ができなくなると影響が大きいので、免税事業者からの仕入税額控除について次のような激変緩和措置を講じています。
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