今回は、法人の寄附金について説明します。寄附金というとお金をタダであげることと思うのが通常ですが、法人税法ではお金をタダであげなくても、実質的にそれと同様の効果がある場合には、それを寄附金として扱います。以下説明いたします。
法人税法上の寄附金とは、金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいます。金銭、物品の贈与、無償の供与は分かりますが、経済的利益はイメージしにくい言葉です。
時価100 万円の物をA 社がB 社に何の理由もなく30 万円で販売した場合、時価と販売価格の差額70 万円が経済的利益となります。
B 社は、仮に30 万円で購入した物を市場において100 万円で売却すれば、手元に70 万円お金が残ります。つまり、A 社がB 社に70 万円のお金を寄附したのと同様の効果になります。ですから、この例ですと、A 社は販売した時点で70 万円を経済的利益の供与として寄附金として処理することになるのです。
B社は、A 社から実質的に70 万円のお金をもらったのと何ら変わらないのですから、70 万円は購入した時点で受贈益という扱いで会社の利益となり、税金の対象となります。
法人税法では、A社の寄附金70 万円が全額経費となる訳ではありません。経費となるのは、資本金等の0.25%と、所得金額の2.5%の合計の25%だけです。A社の資本金が1,000 万円で、所得金額が1,500 万円であるとすると、寄附金が経費になる限度額は年額10 万円です。つまり、60万円は会社の経費とならないのです。
国または地方公共団体に対する寄附金、国立大学に対する寄附金は、全額会社の経費となります。
独立行政法人や日本赤十字社、公益社団法人、社会福祉法人などに対する寄附金は、資本金等の0.375%と所得金額の6.25%の合計の50%までが会社の経費となります。
先ほどのA社と同様に資本金が1,000 万円で、所得金額が1,500 万円であるとすると、寄附金が経費になる限度額は年額487,500 円です。
合理的な理由がないのにもかかわらず、無利息もしくは、通常収受すべき貸付利息より低率な利息でお金を他社に貸付けると、通常収受すべき貸付利息との差額が貸付先に対する寄附金と扱われます。貸付を受けている会社は同額が受贈益としてその会社の利益となり、税金の対象となります。
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