決算時期になると、「在庫はありませんか?」、「仕掛品はありませんか?」と当事務所の担当者からよく聞かれると思います。いずれも決算で利益を確定するための重要な事項となりますので、分かりやすく説明いたします。
利益は、「収益-費用=利益」の計算式で計上されます。商品を@100 円で 10 個仕入れて、@200 円で 8 個売れた時点で決算を迎えました。その時点の利益は次のようになります。
売上(収益)@200×8 個 | 1,600 円 |
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仕入(費用)@100×10 個 | 1,000 円 |
差引:利益 1,600-1,000 円 | 600 円 |
ここで、まだ売れていない商品 2 個を在庫として計上します。
売上(収益)@200×8 個 | 1,600 円 |
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仕入(費用)@100×10 個 | 1,000 円 |
在庫(▲費用)@100×2 個 | ▲200 円 |
差引:利益 1,600-800 円 | 800 円 |
仕入れた商品 10 個がすべて費用とされていますので、まだ売れていない商品 2 個を在庫として計上して費用からマイナスします。
そうしますと、売上 1,600 円-(仕入 1,000 円-在庫 200 円)で利益は 800 円となります。100円で仕入れた商品を 200 円で 8 個売ったわけですから、利益は 800 円が正解です。
デザインの注文を受けたので、いつも頼んでいる外注先に仕事を頼みました。外注先にはデザイン料として 300,000 円支払いましたが、売上先からはなかなか OK が出なくて、この状態で決算を迎えました。売上 500,000 円の計上は翌期になりました。
決算時では費用である外注費が300,000円計上されていますので、利益は次のようになります。
売 上(収益) | 0 円 |
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外注費(費用) | 300,000 円 |
差引:利益 | ▲300,000 円 |
売上の計上がなくて外注費が計上されていますので、利益はマイナスの 300,000 円になってしまいます。
そこで、この外注費を翌期の売上 500,000 円に対応させるため、仕掛品として計上します。
売 上(収益) | 0 円 |
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外注費(費用) | 300,000 円 |
仕掛品(▲費用) | ▲300,000 円 |
差引:利益 | 0 円 |
外注費を仕掛品として計上することにより、費用のマイナスとなり、結果として今期の利益は 0円となります。
翌期は前期から繰り越されてきた仕掛品が費用として計上され、売上 500,000 円からマイナスされて 200,000 円の正しい利益が計上されます。
売 上(収益) | 500,000 円 |
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仕掛品(費用) | 300,000 円 |
差引:利益 | 200,000 円 |
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