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配偶者控除の改正

第282号 2017年11月

1.はじめに

サラリーマンの場合、税金の計算は年間の給与収入によって定められた給与所得から、所得控除を引いた額に税率を掛け合わせて計算されます。

給与所得から差し引く所得控除とは、配偶者控除や生命保険料控除などが代表例となります。この所得控除の代表格である配偶者控除の改正について以下説明いたします。

2.現行の配偶者控除

以下、分かりやすいように配偶者が妻で、所得者本人が夫として説明します。

配偶者控除の対象となる配偶者を控除対象配偶者といいます。控除対象配偶者とは夫と生計を一にする配偶者で、合計所得が 38 万円以下(給与収入で 103 万円以下)の人をいいます。

生計を一にするとは、日常生活の糧を共通にしているという意味で、別居していても生活資金を送金しているような事実があれば、これも含まれます。

現行の配偶者控除は夫の所得にかかわらず、妻と生計を一にして、妻の給与収入が 103 万円以下であれば、受けられることになります。

控除額は 38 万円で、妻が 70 歳以上の場合は48 万円です。

3.夫の所得金額で控除額が変わります

改正(平成 30 年から)では、夫の所得金額により配偶者控除の額が変わってきます。まず夫の合計所得が 1,000 万円(給与収入で 1,220 万円)を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができません。

夫の合計所得が以下の 3 区分で配偶者控除額が変わります。(妻の給与収入が 103 万円以下)

  • 900 万円以下(給与収入 1,120 万円以下)
  • 900 万円超 950 万円以下(給与収入 1,120 万円超 1,170 万円以下)
  • 950 万円超 1,000 万円以下(給与収入 1,170 万円超 1,220 万円以下)

控除額は、①で 38 万円、②で 26 万円、③で 13万円です。

妻が 70 歳以上の場合は、①で 48 万円、②で 32万円、③で 16 万円です。

4.源泉徴収事務も変わります

毎月の給与から控除される源泉所得税は、扶養する人数によって変動します。現行は妻の合計所得が 38 万円以下である控除対象配偶者に該当する場合は、扶養する人数 1 人としてカウントします。

改正後は、夫の合計所得が 900 万円以下(給与収入 1,120 万円以下)で、妻の合計所得が 85 万円以下(給与収入 150 万円以下)を源泉控除対象配偶者といい、扶養する人数 1 人としてカウントするようになります。来年 1 月からの給与計算において注意が必要です。

5.配偶者特別控除も改正されました

夫の合計所得が 1,000 万円以下で妻の合計所得が 38 万円超 76 万円未満(給与収入 141 万円未満の場合に適用されていた配偶者特別控除も改正されました。

妻の合計所得が 38 万円超 123 万円以下(給与収入 201 万 5,999 円以下)で配偶者控除における夫の所得区分①②③ごとに控除額が定められました。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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