書面添付制度、なんともイメージしづらい名称ですが、この制度を利用すると税務調査が回避できる可能性がありますので、以下説明します。
顧問税理士がいる場合には、税務調査の連絡はまず税理士に入ります。そして、税理士は納税者と税務署との間に入って調査の日程調整をします。調査の日程が決まったら、実地調査です。調査期間は2日~4日くらいで、調査には税理士が立ち会って、納税者の味方をします。
実地調査が終わってから、調査官は問題点を署内で検討し、必要に応じて取引金融機関を訪問したり、納税者の取引先に反面調査をしたりします。また、納税者に資料の追加提出も要求してきます。
問題点が絞り込まれたところで、その妥当性を当事者で検討し、最終的な結論を導き出します。
そして、その結論に従って、追加納税が必要な場合は修正申告をして納税し、何も問題点がなければ、何もせずに調査は終了です。
実地調査から調査終結までの期間は、早くても1か月ちょっと、通常は2~4か月くらいかかります。
書面添付制度を利用すると、税務調査に入る手順が変わります。
税務署は、調査先に選定した納税者が書面添付制度を利用していた場合には、まず顧問税理士に意見聴取をすることになります。意見聴取は、税理士が税務署に行って調査官と面談して、納税者の業務内容や、申告内容について質問を受け、それに回答する形で行われます。
意見聴取が終わって調査官が調査の必要性がないと認めた場合には、税務署は税理士に対し「現時点では調査に移行しない」旨の連絡を文書で行います。これが税理士のもとに来れば実地調査は行われず、これで終了となります。
通常の調査では、事前に調査の予告がありますが、予告なしで突然調査に来ることがあります。
無予告調査と言いますが、無予告調査の場合は税理士への意見聴取がありません。
ただし、無予告調査をする場合の要件は、「調査の事前通知をすると、資料を廃棄したり、納税者が逃亡したり、資料を偽装したりする見込みがある」と思われる場合に限られますので、無予告調査は限定的なものと言えます。
書面添付制度は、税務代理権限証書(委任状)と所定の書面を、税務申告書と一緒に税務署に提出することにより適用されます。
所定の書面には、申告書作成に関して、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を詳細に税理士が記載します。したがって、この制度を適用する前提としては、個々の取引や決算書の内容が、税法に照らして正しく処理されていることが前提となります。
書面添付制度の利用をご検討されるお客様は、担当までご連絡ください。
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