YAHOO ニュースに「大塚家具、現金と預金が90 億円減の異常事態」と載っていました。親子の対立で話題となった会社ですが、この会社の四半期決算を見てみました。
中小企業では、決算は年1 回行うものというのが一般的ですが、上場会社においては4 半期毎の決算の発表が義務付けられています。大塚家具は12 月決算ですので、1 月~12 月の本決算の他に3か月毎の決算発表が行われます。つまり3 月と6月と9 月に四半期の決算発表が行われます。今回の報道は1 月~9 月までの四半期決算の発表を受けてのものです。
平成27 年12 月31 日現在の現預金は109 億円あったのですが、平成28 年9 月30 日の現預金は19 億円しかありません。現預金が確かに90 億円減っています。無借金経営ですので借入金の返済で現預金が減ったわけでもありません。
配当金は株主に対する利益の分配です。前期の利益は6 億円ですが、配当金を約15 億円支払っています。利益以上の配当をしているわけで、大盤振る舞いです。
自己株式とは、会社が自らの株式を買い取ることです。なぜ自社の株式を買うかというと、その分市場で流通する自社の株式が少なくなって、株価の維持に有効だからです。先ほどの大盤振る舞いの配当も株価維持には有効です。この自己株の取得に約14 億円支払っています。
有形固定資産とは、建物、工具器具備品、土地、車両などです。店舗の出店に当たってこれら有形固定資産の取得が必要と考えられますが、約11億円支払っています。
売上代金の回収より仕入代金の支払いが約5 億円、商品在庫の積み増しによる支払が約5 億円あり、その分現預金は減少しています。
以上の支払額の合計は約50 億円、それに1 月~9 月までの損失約36 億円を足すとおよそ90 億円に近付きます。これが大雑把な現預金減少の内訳です。
換金可能な資産としては、投資有価証券が51億円がありますが、三井不動産や三越伊勢丹などの取引先の株で売りにくいでしょう。また、店舗保証金として60 億円ありますが、店舗を撤退しない限り使うことはできません。
このまま行けば無借金経営から脱落する可能性が高いと思います。また、売上高が約77 億円減少したのにもかかわらず、販売費及び一般管理費が約7 億円しか減少していないのも気にかかります。
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