会社を経営していると様々なトラブルに遭います。取引先、取締役や従業員、株主とのトラブルもあります。よくあるトラブルとその対処法を説明します。
知人や取引先、従業員などを株主としたことによるトラブルはよくあります。出資を受けたり株式を譲渡したりして、知人や取引先や従業員などを一度株主にしてしまうと、友好関係があるうちは問題ないのですが、友好関係がなくなると問題が生じてきます。
一株でも所有していれば株主としての様々な権利を主張することができますので、会社に嫌がらせをしようと思えば簡単にすることができます。
こういったトラブルを避けるためには、安易に出資を受けたり株式を譲渡したりしないことです。また、議決権のない株式を発行して株主になってもらうことも一つの方法です。
取締役の任期は原則として2 年ですが、株式譲渡制限会社(株式を譲渡する場合、取締役会又は株主総会の許可が必要と定めている会社)は、取締役の任期を最長10年まで延ばすことができます。
取締役の任期を最長の10 年とすると、2年ごとにする取締役重任の登記の手間と費用が抑えられるメリットはありますが、いざ取締役との友好関係がなくなると問題が生じます。
取締役との友好関係がなくなり、取締役を解任するには、株式の過半数を持っていればいつでもできます。しかし、解任された取締役が、この解任による損害賠償を請求してくることが考えられます。この場合の損害は任期満了までの役員報酬・役員賞与・役員退職金相当と考えられます。
すると、任期を10 年としていると、2 年目で解任しても残りの8 年間の報酬を損害賠償金として支払うことになるのです。解任するための正当な理由(横領、背任行為、法令・定款違反行為等)があれば、損害賠償をする必要はないのですが、このようなリスクを考えて取締役の任期を定める必要があります。
取引先とのトラブルで最も多いのが代金の未回収です。取引先と連絡がすでにつかないようなケースは別ですが、分割でも支払ってもらえそうであれば、たまった売掛金を貸付金に切り替える契約(準金銭消費貸借契約)を締結しましょう。
この契約で時効(商品売買債権の時効は2 年)は新たに5 年間延長されます。契約で利息や遅延損害金を定め、できれば連帯保証人も付けると有利です。
また契約書は公証役場で作成する執行証書で結ぶと、支払いが再度滞った場合には、取引先の財産をすぐに差し押さえることができます。つまり、訴訟などの手続きをすることなく取引先の財産を差し押さえて換価することができるのです。
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