会計とは、事業活動の成果を誰でも分かるように客観的数値で表現することです。損益計算書は一定期間における事業活動の儲けの状況を表すもので、貸借対照表はその儲けたお金がどのような形で残っているのかを表すものです。
いずれもすでに終了した過去の事業活動の結果を数値化したもので、過去会計と呼ぶことができます。
この過去会計に相対するものとして未来会計があります。これから先5年間の長期ビジョンに基づく事業計画を策定し、それを単年度計画(直近の1年計画)に落とし込み、その計画を実践して、月次で計画と実績の検証を行い、計画とのズレがあればその対策を講じて計画を達成していくのが未来会計です。
会社が成長するために必要なものとしてまず経営者が経営数値に強くなることが必要です。経理から上がってきた数字を理解して、経営判断に役立てることができるからです。勘や預金残高だけを頼りにした経営判断は危険です。
経営者が会社の将来の展望を示すことも必要です。具体的には会社の5か年計画という形になりますが、長期の会社の道筋を描きます。
会社の長期目標を立てたなら、それを実現する仕組みが必要となります。それが未来会計なのです。
「なぜロケットは月に行くことができたのか?」を説明するのがロケット理論です。
ロケットが月に行くことができたのは以下の3つの要因から成り立っていると言われます。
ロケット理論は、月に行くという「目標の明確化」、どのようにして月に行くかという「目標達成方法の具体化」、月までの軌道を修正する仕組みを作るという「達成管理の仕組みの確立」という3段階で成り立っています。
未来会計も同様で、「今期売上5億円達成」という目標を明確化して(目標の明確化)、その目標を達成するための具体的な計画を立案し(目標達成方法の具体化)、毎月計画どおりに実績が上がっているかを検証して、ズレがあればそれをフィードバックして改善する仕組み(達成管理の仕組み)を確立することにより、今期売上5億円という目標を達成するのです。
この未来会計をもう少し具体的に見ていきましょう。
まず、会社の経営理念を定めます。経営理念は会社の存在意義や社長の経営への想いです。
そして次にどのような商品やサービスをどのような市場に投入して、どのくらいの事業規模にするのかという中期の経営目標を定めます。
更に5か年の具体的な数値計画(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)を立て、最後に当期の経営目標(1年目の重点テーマ)を定めます。
これで会社が進むべき長期的な方向付けと、短期的に達成すべき目標が明確になります。
達成すべき目標が定まったら、その目標を達成するための単年度計画を策定します。
単年度計画では、月別の行動計画や数値目標を設定します。
計画は具体的に策定する必要があり、売上については部署別、商品・サービス別、担当者別などというように細分化して計画することが必要です。
単年度計画が策定されたら、その計画を全社で共有するために経営計画発表会を開きます。目標とそれを達成するための計画を全社で共有するためです。
単年度計画で定めた月別の計画と実績を毎月比較して計画の達成度を管理します。計画と実績との間に差異があれば、その差異の原因を分析します。
そして原因が判明したら、その差異を今後埋めていくための対策を検討します。売上目標に達しない社員がいた場合、その原因はその社員の扱う商品やサービスにあるのか、販売する地域にあるのか、販売方法にあるのか、営業時間が足りないのか、等の原因を分析して、不足する要因を補完したり、補強することにより、売上目標を達成していくのです。
先月、私は初めて1人5キロを走る駅伝に事務所のメンバーと参加しました。5キロなんて走ったことがなかったのですが、「5キロを走る」という目標を掲げ、練習をした結果、完走できました。
おそらく、私が今回「5キロを走る」という目標を掲げなかったら、私はこれから先において5キロも走ることはなかったでしょう。
会社経営は、このような想いだけでは簡単に目標達成できないことはわかっています。しかし、「今期は黒字にする」「2年後には利益を1億円超えにする」といった、目標を掲げて、その目標達成のために行動すれば、今まで見えなかった会社の経営上の課題が見えてきます。そして、その課題を一つずつクリアすることにより、会社はパワーを増していくのです。
アトラスでは、未来会計のお手伝いをしています。担当者までご連絡ください。
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