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マイナンバー制度

第250号 2015年03月

1.はじめに

マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が始まります。個人と法人に番号が付けられて、社会保険や税金に関する書類にその番号を記載することになります。

たとえば、給与所得の源泉徴収票についても、マイナンバー制度の導入により書式が変更になります。上の書式が現在の源泉徴収票で、下の書式がマイナンバー制度導入後の書式となります。

現在の源泉徴収票

現在の源泉徴収票

マイナンバー制度導入後の書式

マイナンバー制度導入後の書式

用紙の大きさが倍になり、まず給与の支払いを受ける社員の個人番号が記載され、そして控除対象配偶者の個人番号、控除対象扶養親族の個人番号が記載されます。下段には、給与の支払者の番号が記載されます。支払者が個人であるなら個人番号、法人であれば法人番号が記載されます。

2.各省庁間で情報共有

給与所得の源泉徴収票は、給与所得者の年間の給与額と税額などの情報が記入されています。個人の給与情報は、現在では事業者が税務署と市区町村に報告していますが、年金事務所やハローワークでは独自で知るすべはありません。

しかし、マイナンバー制度では、年金事務所やハローワークが個人番号で検索すれば、給与情報を簡単に入手することができるのです。また、事業者の個人番号や法人番号を入力すれば、事業者が支払っている給料情報も入手することができます。

このように、マイナンバー制度がスタートすると、今までは省庁間で共有されることのなかった個人や法人の情報が筒抜けになることになります。

3.平成27年10月から通知

個人番号は国籍にかかわらず、日本に住民登録を行っている個人に12桁の個人番号が通知されます。1人につき1枚の「通知カード」という紙製のカードが世帯ごとに郵送で送られてきます。

法人番号も登記をしている全ての法人に、平成27年10月から13桁の法人番号が通知されます。

4.個人番号カード

個人では、市区町村から送られてくる「通知カード」以外に、「個人番号カード」が用意されます。個人番号カードは、顔写真付きで、氏名・住所・生年月日・性別・個人番号等が記載されます。本人確認に便利なカードとなりますが、本人が市区町村の窓口に出向いて交付手続きを行わなければ発行されません。

5.税務関係書類への記載時期

税務関係書類へのマイナンバーの記載時期は次の通りです。

  • 個人の所得税、住民税、事業税については、平成28年分の申告から
  • 法人の法人税、住民税、事業税については、平成28年1月1日以降に開始する事業年度の申告から
  • 法定調書、給与支払報告書、申請書、届出書は、平成28年から

平成28年の給与所得者の扶養控除等申告書は、今年の年末調整において社員から入手するケースが多いと思われますが、今年の10月以降に通知された社員の個人番号を年内にあらかじめ収集することは問題ありません。

6.社会保障関係書類への記載時期

社会保障関係書類へのマイナンバーの記載時期は次の通りです。

  • 雇用保険の資格取得届、資格喪失届、適用事業所設置届等は、平成28年1月1日以降提出分から
  • 健康保険と厚生年金保険の資格取得届、資格喪失届、被扶養者届、新規適用届等は、1年遅れて平成29年1月1日提出分からです。

7.全社員のマイナンバーが必要

事業者はすべての従業員からマイナンバーを取得することが必要です。その際に本人確認をすることが義務付けられています。

具体的には、①事業者が用意した個人番号の申告書、②番号記載書類(通知カード等)、③身分証明書(運転免許証等)の3点セットが必要となります。4.で説明した個人番号カードがあれば②と③がこのカード1枚で済みます。

8.利用目的を明示する

マイナンバーを扱う事業者は、その利用目的を明らかにして、その目的以外に利用することはできません。つまり、源泉徴収のために取得した社員のマイナンバーを、社会保険の手続きで利用することはできないのです。はじめにマイナンバーを取得するときに利用目的を包括的に明示することが必要です。

9.マイナンバーの保存に注意

マイナンバーが記載された書類は、その法定保存期限が到来したら速やかな廃棄が必要です。廃棄しないでそのまま保存してはいけません。したがって、マイナンバー記載書類の個人別の期限管理が必要となります。

マイナンバーの漏えい等の違反行為に関しては、違反した社員のみならず、事業者等の団体そのものも罰せられることになりますので、十分な管理体制が必要となります。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士・行政書士 井上 修
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