銀行に預金するだけでしたら銀行との付き合いを意識する必要はありませんが、借入を起こすとなると銀行との付き合いが必要となります。そのための基礎知識を説明します。
振り込め詐欺を代表とする経済犯罪の多様化から銀行も口座開設にかなり慎重になっていて、以下のようなケースでは口座を開設しにくくなっています。
銀行の本業は、預金を集めてそれを原資に融資をして利息を稼ぐことです。バブル後において銀行はかなり痛い目に合っていますので、融資したお金がほぼ確実に返済される優良企業に対しては都銀からでも積極的な融資のアプローチがあります。銀行は常に信用情報等から中小企業の内容把握に努め、貸して安心な中小企業には融資に積極的です。
銀行の預金に対する貸付の割合を示した銀行の指標で、銀行にとってはこの割合が大きいほど融資に積極的ということになります。
現在は銀行平均で68%くらいということで、低い値で推移しています。
銀行で運転資金とは、次の算式で求められる値を言います。
売掛債権とは売掛金や受取手形を内容とし、棚卸資産は商品等の在庫で、買掛債務とは買掛金や支払手形を内容とします。つまり、商品を現金で仕入れて同日に現金で販売すれば運転資金は要りませんが、商品を掛で仕入れてそれを掛で販売して、しかも在庫を持つとなると、在庫を持つ資金と掛での入金と支払との差額分の資金が常に必要となります。これを運転資金というのです。
例えば運転資金を月の売上高で割ると1.5といった倍率が計算されたとします。この倍率が1.5ということは月の売上高の1.5か月分の運転資金が常に必要であることを意味します。倍率が低ければ必要な運転資金は少なくて済みますので、倍率が低い方が望ましいといえます。
営業キャッシュフローは、簡便的に次の算式で求められます。
損益計算書の経常利益に金銭の支出を伴わない経費である減価償却費を足して、税金を差し引いた額が営業キャッシュフローです。会社の営業活動で稼いだお金を意味します。
借入金をこの営業キャッシュフローで割ると、会社の営業活動で稼いだお金で借入金を何年で返済できるかが分かります。7年以内が望ましいといわれています。
よく貸借対照表に多額の現金が記載されていることがあります。店舗の釣銭用の現金というように、現金が多額にある理由が明確であれば問題ないのですが、経理処理の結果として現金が多額に計上されていると銀行はよい顔をしません。
現金が多額になる理由は、預金から現金を引出してそのままになっているケースが考えられます。通常、預金から現金を引き出したら、そのお金を使った領収書をもとに経理処理をします。預金から5万円を引き出して旅費の精算をすれば、その引き出した5万円は旅費交通費として経費処理されます。
それが何も精算処理がないと、預金から現金を引き出して現金が増えたとする経理処理になります。この処理が度重なると現金がどんどん増えていくことになるのです。あまり良いことではないですね。
銀行から融資を受けると、金銭消費貸借契約書を締結します。そうすると契約に従い何年何月まで毎月いくら返済するとして返済の分割払いが始まります。このように期限まで借入金の返済が猶予されていることを債務者の期限の利益といいます。
税金や社会保険料を滞納して督促状が来ているのに何も連絡をしないでいると、銀行預金を差し押さえられることがあります。預金の差し押さえは、融資における期限の利益の喪失原因となります。銀行から「預金の差し押さえにより融資金の期限の利益が喪失したので、残額を直ちに支払え」と言われても対抗できません。
会社を設立して融資を受けようとする場合、資本金は多めに設定した方が融資を受けやすいといえます。つまり、ある程度の自己資金を用意できなければ、つまり、創業者本人がある程度の資金リスクを負担しなければ、銀行も融資に積極的になれないということです。
銀行から融資を受けるにあたって留意すべき点は以下のようなことです。
借りた金は返さなければなりません。金利が安いからといって安易に銀行から融資を受けると、手元資金が潤沢となり慎重な経営判断を狂わす原因となります。
経営不振で資金が不足する場合には、その原因を究明して資金流出に蓋をするのが先決です。
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