平成27年から相続税の増税が始まることから、相続に関するセミナーやアパートを建築して相続税の節税をするといったセミナーが目白押しです。
増税により相続税の申告をしなくてはならない納税者が増えることは間違いありません。一番身近な相続財産として自宅不動産があります。相続税の納税のために自宅まで手放すようなことがあっては大変です。
そうならないために自宅土地の評価に関して特例を設けています。それが小規模宅地の特例で、特例の対象となる土地面積が平成27年から330平方メートル(現行は240平方メートル)に拡充されました。
特例の適用要件を満たせば、自宅の土地を最大330平方メートル(平成26年までは240平方メートル)までを8割引きの評価にしてくれる特例です。つまり、自宅の土地を路線価で評価すると1億円となるものが、この特例を適用すると8割引きの2千万円で相続税の計算上評価されるのです。
故人の配偶者が自宅土地を相続により取得すれば、無条件に自宅土地の評価は8割引きとなります。相続で自宅を取得して、すぐにそれを売却しても自宅土地の評価は8割引きとなります。
故人と同居していた親族が自宅の土地を相続により取得して、相続税の申告期限まで売却することなく所有して住み続けていれば、その自宅土地は8割引きの評価となります。
故人と同居していない親族がこの特例を適用できるケースです。
適用要件は、相続開始前3年以内において自己またはその配偶者が所有する家屋に居住したことがない親族が、自宅を相続で取得した場合です。いわゆる、家なき子が自宅を取得した場合に適用できるケースです。
なお、故人の配偶者がいなくて、かつ故人と同居していた法定相続人もいないことが前提条件となります。
故人と同居していない持ち家のある子であれば、持ち家を賃貸にまわして、自分は借家に住んで家なき子になることも検討する余地はありそうです。
父の土地に父と子が資金を出し合って2世帯住宅を建築する場合、登記の仕方に注意しなくてはなりません。
建物内部で行き来できない長屋式の2世帯住宅でも、親子の共有登記とすれば敷地全体を特例の対象とすることができます。
一方、建物内部で行き来できる場合でもできない場合でも、その2世帯住宅を父と子が各々の建物を区分して所有するとした区分所有登記がなされると、特例の対象となる土地は、父の区分所有した建物の敷地部分だけとなってしまいます。
登記の仕方ひとつで、8割引きが敷地全体に使えなくなりますので注意が必要です。
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