首都高速を車で走っていると周りの風景の変化に驚きます。タワーマンションが地上から突き出た竹の子のように次々に建っています。私は高いところが苦手ですので、タワーマンションに住みたいとは思いませんが、夜景を見ながらお酒を飲めたらいいな~と思います。このタワーマンションを購入するだけで相続税が安くなるということを説明します。
2015年から相続税が増税になることから、主に土地所有者を対象とした相続税セミナーがハウスメーカーなどで盛んに行われています。
土地は更地のままだと何らの評価減もなく路線価で評価されてしまいます。一方、土地の上にアパートを建てると、その土地は貸家建付地として路線価の約80%評価となり、小規模宅地の特例によっても50%評価となり、トータルで路線価の約40%評価となります。
建物については固定資産税評価額で評価されることから、建ててから数年で新築価格の50%以下の評価となります。そして更に貸家の評価でその70%の評価となり、トータルで新築価格の35%くらいの評価となります。
つまり、もともと所有している土地は40%評価となり、手持ち資金はそれを建物に姿を変えることで35%の評価となって、相続財産を減らします。その減った相続財産に相続税率を乗じた税額だけ相続税の節税となります。
土地がなくても手元にお金があれば、そのお金で土地を購入してアパートを建てれば、同様に相続税は安くなります。手元に2億円の預金があれば、そのお金でアパートの土地と建物を取得すれば、およそ40%評価の8千万円に相続財産を減らすことができるでしょう。
手元の預金でタワーマンションを購入して賃貸に出すとアパートを購入するより節税効果は大きくなります。アパートの場合、取得価額の40%の評価と説明しましたが、タワーマンションの場合には、平均すると取得価額の20%くらいの評価になります。つまり、2億円の預金でタワーマンションを購入すると、そのタワーマンションの相続税評価額は4千万円になるということです。現行の相続税の最高税率である50%で節税額を計算すると、相続財産の減少額1億6千万円×50%で8千万円の節税となります。
タワーマンションの相続税評価額が、取得価額の20%くらいになる理由は、タワーマンションの構造自体にあります。
戸建のアパートは、土地の上に2階建の建物が建っているのが一般的で、取得価額の内、土地の占める割合が多くなります。一方、タワーマンションは土地の上に何10階という高層の建物が建っていることから、取得価額に占める土地の割合は極端に少なくなり、建物の割合がほとんど占めます。
つまり、タワーマンションの価額は、そのほとんどが建物の価額で構成されているということです。駅近の立地の良いタワーマンションであればあるほど、不便な立地のタワーマンションと建築費は一緒でも、マンションの建物取得価額は高くなります。
一方、相続税の評価額である建物の固定資産税評価額は、どのような立地に建っていても評価額は大差がないので、タワーマンションの建物取得価額に対する固定資産税評価額の割合は極端に低くなるのです。その結果、タワーマンションの相続税評価額が取得価額の20%くらいになるという現象が起きるのです。
タワーマンションの節税効果は分かったが、果たしてどのようなマンションを買ったらよいのでしょうか?
まず、単に相続税評価額を下げる目的だけで物件を選ばないことです。相場より高い物件を購入すれば評価減の割合が増えますが、これでは本末転倒です。賃貸がつきやすい物件、売却しやすい物件、価値が下がりにくい物件を選択する必要があります。
具体的には以下のようになります。
タワーマンションを買ったことで相続がもめては困ります。相続人の数だけタワーマンションを購入しておけば、各相続人が一部屋ずつタワーマンションを相続することができ、売却も自由にできます。
以上のタワーマンション節税は、「タワーマンション節税!相続対策は東京の不動産でやりなさい」沖有人著 朝日新聞出版を参考にしたものです。この節税に興味のある方は当事務所まで。
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