平成25年4月1日から「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」がスタートしました。1,500万円までの教育資金を祖父母から孫へ金融機関を通して贈与しても贈与税が課税されないというものです。
高齢者世代が保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、子どもの教育資金の早期確保を進め、経済活性化にも寄与することを期待してできた制度です。
麻雀が賭博やギャンブルに関するものとしてあげられているのは、麻雀愛好家の私としては心外です。
また、遊興、遊技を内容とするものにパチンコが入っていますが、街でパチンコ教室など見たことも聞いたこともありません。パチンコは賭博やギャンブルに関するものであると思います。どうでもよいことなのですが気になります。
金融機関に預けてある一括贈与された資金でスポーツカーを買ってしまったら、その資金は孫が30歳になった時点で贈与税の対象となり、金融機関の口座に使われずに残っている資金と一緒に贈与税の申告をして贈与税を納税することになります。
子や孫に教育資金を贈与した父母・祖父母が死亡しても、金融機関に預けた教育資金は、贈与された子や孫が30歳になるまでそのまま生き続けます。したがって、死亡した父母・祖父母の相続財産にはなりません。
余命いくばくの人が、自分の財産を相続人に贈与して相続税を逃れるのを防止するために、相続税法では、相続開始前3年以内に相続人に贈与された財産については、相続財産に加算することになっています。しかし、この教育資金の一括贈与に関しては、この制度の対象とはなりません。
したがって、余命半年というような状況でも、30歳未満の自分の子や孫に1,500万円ずつ教育資金の一括贈与を行えば、自らの相続財産を素早く減らすことができて、結果として相続税も減ることになるのです。
相続税法では、扶養義務者相互間において、生活費または教育費に充てるための贈与で、通常必要と認められる部分の金額については、贈与税を非課税にすることとしています。
扶養義務者には直系血族(曾祖父母、祖父母、父母、子、孫、曾孫)も含まれますので、祖父母が孫の教育費を負担したような場合は、贈与税は非課税となります。 この場合、孫の親が裕福な資産家であって、教育費の負担に全く問題がない場合であっても、祖父母が負担した孫の教育費に対して贈与税が課税されることはありません。
教育資金の一括贈与は、一度に教育資金を最大1,500万円贈与できる点が優れています。扶養義務者相互間の贈与では、必要な教育費が発生する都度に、直接それらの支払いに充てるために贈与することになります。
贈与する側の祖父母が、自分の老後資金を十分残したうえでの余裕資金で贈与するのであれば教育資金の一括贈与もよいでしょう。しかし、老後資金にあまり自信がない祖父母であれば、扶養義務者相互間の教育費の贈与をできる分だけするのが良いかもしれません。
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