消費税率は平成26年4月1日からは8%に、平成27年10月1日からは10%に引き上げられます。来年の4月になると消費税の対象となる物品やサービスに原則として8%の税率が一律に適用されますが、例外もあります。その例外が消費税の経過措置として定められています。
8%の消費税率が適用されるのは、平成26年4月1日以後に提供されるサービスや引き渡される商品等となります。
平成26年の3月に自動車を修理に出して、修理が完了したのが4月になると8%の税率が適用されます。
また、平成26の3月に新車の購入契約をしても納車が4月になれば、やはり8%の税率が適用されるのです。
前売りで新幹線の乗車券を買っても、実際の乗車日が平成26年4月以降になれば、8%の消費税率が適用されるのが原則です。
しかし、乗車券や映画の入場料などは前売りを行うのが一般的であることから、例外を認めています。
つまり、平成26年3月31日までに前売り券を買えば、4月以降に新幹線に乗車したり映画を見に行っても5%の税率が適用されます。
対象となるものとしては、電車・飛行機の前売券、通勤・通学等の定期券、映画・遊園地等の前売券、プロ野球等の年間入場券等が該当するようです。
電気、ガス、水道料金などは、26年の4月1日から新税率を適用するといっても、物理的に4月1日前と後の使用量を把握することができません。そこで4月1日をまたいだ分の料金で、1か月単位で料金が確定するものについては5%の税率が適用されます。
水道料金のように2か月単位で料金が確定するものについては、計算により4月30までの料金に5%の税率が適用されます。
建物の建築工事などの請負工事については、平成26年4月以降に完成引渡しをした場合には8%の税率が適用されるのが原則です。
しかし、例外として平成25年9月30日までに請負契約を締結すれば、工事の完成引渡しが26年4月以降であっても5%の消費税率が適用されます。
この取扱いが適用されるのは、仕事の完成に長期間を要し、かつ、その仕事の目的物の引渡しが一括して行われ、相手方の注文が付されているものとされています。
具体的には、建設請負工事、測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の製作、ソフトウエアの開発などの請負契約が対象になります。
ただし、請負に関する契約であっても、仕事の目的物の引渡しが一括して行われないものは対象となりません。月極めの警備保証契約、ビルの清掃契約、建物・機械・プログラム等の保守管理契約、土地・建物等の管理契約などのように継続して役務の提供を行っていて、一括して引渡しをすることのない契約は対象とはならないようです。
マンションや一戸建て住宅を購入する契約を平成25年9月末までに締結しても、物件の引渡しが平成26年4月以降になると、物件の建物部分に係る消費税率は8%となります。これは、マンションや一戸建ての住宅の購入は売買契約となるため、請負契約の扱いとは異なるからです。
しかし、売買契約で建物を購入する場合でも、その建物の内装・外装・設備・構造について購入者の注文に応じて建築される建物については、請負工事の扱いと同様となります。
平成25年9月30日までに資産の貸付にかかる契約をして、その契約の内容が次の2要件を満たす場合には、平成26年4月以降のその資産の貸付に係る消費税は5%となります。
建物の賃貸借契約でこの取扱いの適用を受けるためには、①は問題ありませんが、②の要件を満たす必要があります。
通常、建物賃貸借契約書には「賃料が近隣の建物の賃料に比較して不相当となった時には、賃貸借期間内においても協議のうえこれを改定することができる」という文言が入っていますので、この文言を削除するか、表現を変える必要があります。
5.の工事等の請負に関する経過措置及び8.の資産の貸付に関する経過措置の適用を受けた事業者は、その相手方に対してこれらの経過措置の適用を受けたものであることについて書面により通知することとされています。
通知の方法は、請求書等にその旨を表示すれば良いこととされています。
平成27年10月1日から消費税率は8%から10%に上昇します。この時点における経過措置の内容は、8%の経過措置と同じになります。以下のように、日付だけ読み替えることになります。
旅客運賃、映画等の入場料は、平成27年9月30日までに前売券を買えば、10月以降に使っても8%の税率が適用されます。
電気、ガス、水道料金に関しては、平成27年10月1日をまたぐ料金は8%の税率が適用されます。
請負工事等と資産の貸付については、平成25年10月1日から平成27年3月31日までに契約を締結すれば、平成27年10月1日以後の工事の引渡しでも、資産の貸付でも8%の消費税率が適用されます。
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