1月24日に平成25年度税制改正大綱が発表されました。主な改正点を説明します。
現行の所得税最高税率は40%ですが、平成27年からは課税所得4,000万円超については45%になります。住民税と併せた最高税率は55%となります。
住宅ローンで家を買った人について、平成26年3月までは、2,000万円のローンを限度にその1%(最大20万円)を10年間税額控除できます。消費税率が8%になる平成26年4月1日からは4,000万円のローンを限度にその1%(最大40万円)を10年間税額控除できます。
なお、取得した家が耐震性耐久性に優れた認定長期優良住宅や地球にやさしい認定低炭素住宅の場合には、平成26年3月までは、最大30万円を10年間、平成26年4月からは最大50万円を10年間税額控除できます。なお、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅を、住宅ローンを組まないで取得した場合にも、平成26年4月からは最高65万円の税額控除があります。
現行では、5千万円に法定相続人一人当たり1千万円を加算した額が基礎控除となり、遺産がこの基礎控除を下回っていれば相続税の申告自体も必要ありません。M/p>
この基礎控除が3千万円に法定相続人一人当たり6百万円を加算した額になります。
法定相続人が妻と子供ふたりの3人の場合ですと、現行の基礎控除は8千万円ですが、平成27年1月以降は改正により3千万円+6百万円×3人の4千8百万円になります。相続税の申告をしなくてはならない人が増えることになるのです。
現行の相続税の最高税率は50%で、3億円超の相続財産がその対象です。改正では最高税率は55%となり、6億円超の相続財産がその対象となります。
故人が所有していた土地で、自ら居住していた場合や自らの事業用に使っていたような場合に、土地の評価を50%または80%減額する特例があります。居住用の場合、現行では240?まで80%減額されますが、改正により330?まで適用できるようになりました。
そして、居住用と事業用の土地のいずれにも特例が適用できるケースでは、併せて400?までが上限でしたが、改正では併せて最大730?まで適用できるようになります。
贈与税は財産をもらった人が納税します。この贈与税率の改正がありました。改正後の贈与税率は「直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)から20歳以上の者への贈与」と「それ以外の贈与」の2つの税率となります。
現行、30%の贈与税率が適用されるのは、400万円~600万円の贈与ですが、「直系尊属からの贈与」では、600万円~1,000万円の贈与、「それ以外の贈与」では現行と同じです。父母・祖父母から子や孫への贈与税の負担を少なくして財産移転を促すのがねらいです。
相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から20歳以上の子へ2,500万円までの財産を贈与しても、贈与時には贈与税はかからないで、相続時に贈与財産を相続財産として取り込んで税金の精算をするものです。
この制度の適用要件が緩和され、贈与者の年齢を60歳以上、受贈者を20歳以上の孫も含まれることになりました。
上記の4.~8.までの改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続・贈与について適用されます。
30歳未満の子や孫の教育資金として金融機関に信託等した場合には、子や孫1人につき学校等の教育資金については1,500万円(塾などは500万円が限度)まで、平成25年4月1日から平成27年12月31日の間に拠出されるものには、贈与税がかからないことになりました。
贈与を受けた子や孫は、教育資金を使った都度、その領収書などを金融機関に提出する必要があり、30歳までに教育資金として使いきれなかった残額は、30歳になった時に贈与税が課税されます。
当期の減価償却費と前期の生産設備投資額の110%を超える生産設備投資があった場合に、取得価額の30%の特別償却と取得価額の3%の税額控除(法人税額の20%が限度)のいずれかを適用できる制度が定められました。平成25年4月1日から平成27年3月31日開始事業年度に適用。
基準となる事業年度の人件費より5%以上人件費が増加し、かつ人件費及び1人当たりの平均給与額が前年より上回っている場合には、増加した人件費の10%の税額控除をすることができます(中小企業の場合は法人税額の20%が限度)。平成25年4月1日から平成28年3月31日開始事業年度に適用。
卸売・小売・サービス・農林水産業を営む資本金3,000万円以下の中小企業が、商工会議所等の指導を受けて行う店舗の改修に伴い30万円以上の器具備品、60万円以上の建物付属設備を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却と取得価額の7%の税額控除(法人税額の20%が限度)のいずれかを適用できる制度が定められました。平成25年4月1日から平成27年3月31日までが対象。
雇用者の数が増加した場合に適用できる雇用促進税制の税額控除限度額が、1人20万円から40万円に増額されます
中小法人の交際費は、現在は年600万円の90%まで損金とできますが、改正により800万円まで全額損金とすることができます。
いずれも平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度から適用されます。
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