社会保険とは、一般的に医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険の4種の保険を指します。保険料は事業主が負担するとともに、社員も負担しています。年々保険料は上がっていて、負担は増すばかりです。
社員の給与から天引きする社会保険料の額は一人当たり数千円から数万円ですが、事業主はその人数分を会社で負担しますので、金額も多くなります。一人当たりの年棒が400万円で、社員が30人いる会社が負担する社会保険料を試算しましょう。
以上を合計すると、17,601,600円の保険料を事業主が負担することになります。給与に対する保険料負担率は14.668%になります。重い負担です。
健康保険と厚生年金保険は、法人事業所と常時5人以上の従業員が働いている個人事業所は強制加入となります。ただし、従業員が5人以上の個人事業所でも、農林水産業、理容美容業・飲食店・クリーニング店等のサービス業、税理士や弁護士等の士業に関しては強制加入の対象になりません。
雇用保険と労災保険に関しては、一定の個人経営の農林水産業を除いて、1人でも労働者を雇用すれば強制加入になります。
法人事業者は健康保険と厚生年金が強制加入となりますが、未加入であっても具体的なペナルティーが課されることがほぼないことから、未加入であることが多いのが現実です。
健康保険と厚生年金に事業所が加入していないと、社員は国民年金と国民健康保険に加入せざるを得ません。国民年金と厚生年金の違いは、保険料が安い分、将来もらえる年金も少ないとイメージしやすいです。
しかし、健康保険と国民健康保険の違いはあまり知られていません。大きな違いは給付にあります。国民健康保険になくて健康保険にあるのが、傷病手当金と出産手当金です。
傷病手当金は、けがや病気で仕事を休んだ場合、最大1年半の間、給与のおよそ3分の2が支給されます。
出産手当金は、出産のために仕事を休んだ場合は、予定日の6週間前から出産日の8週間後まで、給与のおよそ3分の2が支給されます。
医療費の個人負担割合は3割負担で同じですが、いざという時の給付が国民健康保険では手薄いということを理解する必要があります。
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