孫や子供になりすましたり、税務職員や年金事務所職員になりすましたりしてする詐欺事件は相変わらず続いています。まったく世の中、何を信じてよいのやら分からなくなってきました。
これは実際にあった話です。顧問税理士のいない会社に、突然「税務署の者ですが」と言って会社に入り込み、およそ1時間くらい会社の状況等を質問して、社長もすっかり税務職員だと思い込んで回答していたそうです。後で税務署に確認したところ、そのような人物はいないということでした。
私どもの事務所にも税務署から問い合わせの電話があることがあります。当然クライアントの情報を税務署から電話で問い合わせが来たからといってそのまま答えることはありません。クライアントの代表者の了解を得て、相手が税務職員であることを職員名簿等で確認した上で回答します。
新たに従業員を雇用して健康保険や厚生年金に加入させることを資格取得と言い、資格取得届によりその手続きを行います。
この資格取得届を年金事務所等に届ける際に、基礎年金番号の記入が必須となりました。これは偽名による健康保険証の詐取事件が判明したことによります。
20歳以上の人であれば、原則として基礎年金番号をもっています。紛失等により基礎年金番号が確認できない場合は、運転免許証等により本人確認の上、資格取得届と併せて職歴等を記載した「年金手帳再交付申請書」を提出することになります。
新たに会社を設立して、会社の銀行口座を開設する場合の銀行の対応が変わってきています。まず、窓口で断られるケースがあります。会社の目的に「人材紹介業」や「宅地建物取引業」「古物商」などの許認可が必要なものを入れてあって、実際に許認可を受けていないと都銀の一部では門前払いのケースがあります。
それと本店所在地がバーチャルオフィスである場合も同様に口座が開設できない銀行もあります。
これも法人口座を利用した経済犯罪が多いことが原因となっています。
会社の代表者が退任するような場合、代表者変更の登記が必要になります。司法書士が登記の依頼を受けるに際して、本人の退任の意思確認のため本人自身でしか取ることができない個人の印鑑証明書や運転免許証等の提出を求めます。
また、不動産の売却に伴う所有権移転登記においても、同様に個人の印鑑証明書の提出と運転免許証等の提示を求めます。不動産を売却するのが本人の意思であるか確認するのと、本人であることの確認のためです。
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