相続税は、故人が所有する現預金や不動産、有価証券などの財産を課税の対象としています。また、相続開始から3年以内に故人から相続人等に贈与された財産も相続税の課税対象になります。
一方、相続税の対象にならない財産や贈与等もありますので、以下説明します。
墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物は相続税がかかりません。故人が生前に高額な墓や仏壇を購入しても、それらは相続財産にはなりません。
ただし、骨董的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有している物は相続税がかかります。
ペットロスという言葉があるようにペットは人間の子供に劣らないくらい大事にされています。ペット霊園もあり、ペットのお墓も相続税がかからないのかというと、お墓で相続税がかからないのは人のお墓だけで、ペットのお墓は相続財産になってしまいます。
庭内神しとは、自分の敷地内にある地蔵尊、稲荷等で、地域住民の信仰の対象とされているものです。鳥居や賽銭箱などの設備は相続税がかからない扱いですが、その敷地は相続税がかかる扱いとなっていました。しかし、裁判の判決で取扱いが変更になり、その敷地も相続税がかからなくなりました。
相続の開始から3年以内に故人から相続人等に贈与された財産も、相続財産として相続税の対象になります。余命1年ということで駆け込みで相続人に財産を贈与しても相続税は逃れられないということです。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで贈与税がかからない「贈与税の配偶者控除の特例」があります。この特例による贈与は、相続開始から3年以内であっても相続税の対象にはなりません。
また、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」による贈与も、相続開始から3年以内であっても相続税の対象にはなりません。この特例は、父母・祖母から子・孫に対する住宅取得資金の贈与で、省エネ住宅の場合は1,500万円(平成24年)まで非課税となります。
相続によって取得した財産を、相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする特定の法人に寄附した場合には、その財産は相続税がかかりません。
有り余る財産を相続したのであれば、被災地の地方公共団体や福祉施設に、相続で取得した財産を寄附するのも良いかもしれません。
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