民主党が消費税の税率アップを打ち出したところから、マスコミでも盛んに消費税を取り上げています。今では何の抵抗もなく、商品やサービスの価格に課税される消費税を日々支払っていますが、今一度、消費税の仕組みについて考えてみましょう。
お米を例にして消費税の仕組みを説明します。消費者がコシヒカリを5,250円でスーパーにて購入しました。この段階でスーパーは250円の消費税を消費者から預ります。
スーパーのコシヒカリの仕入金額は4,200円で、農協に仕入代金を支払いました。スーパーは、預った250円の消費税から仕入代金とともに支払った消費税200円を控除した50円を税金として納税します。
農協の預った消費税は200円です。農協は農家からコシヒカリを3,150円で仕入れましたので、その支払をします。農協は、預った消費税200円から支払った消費税150円を控除した50円を税金として納税します。
農家は、本来は種代等の仕入の支払はありますが、単純化するためにそれらの支払は無視して、自らの労働で米を収穫したとすると、売上代金で預った150円をそのまま税金として納税することになります。
以上の取引の流れで納税された消費税は、次のとおりです。
スーパー | 50円 |
農協 | 50円 |
農家 |
150円 |
計 | 250円 |
各事業者が納税した消費税の合計は250円で、消費者が負担した消費税額250円と一致します。つまり、事業者が消費者から預った消費税がすべて税金として納税されたということです。
現行の消費税法では、新たに開業した個人事業者と資本金1千万円未満で設立した法人は、最長2年間消費税が免除される免税事業者になります。また、前々年度の課税売上高が1千万円以下の事業者はその年度は免税事業者になります。
先ほどのお米の例で、農家が免税事業者であれば、農家が受け取った150円の消費税は税金として納税する必要はありません。つまり、消費者が支払った消費税の一部が農家の利益となってしまうのです。
お米の例でスーパーがコシヒカリを輸出した場合を考えてみます。輸出品目には消費税がかかりませんので、スーパーは4,200円で仕入れたコシヒカリを消費税無しの5,000円で輸出します。預った消費税はありませんのでスーパーは支払った消費税200円が還付されます。農協は先ほどの例と同じく50円を税金として納税し、農家は150円を納税します。消費税の還付と納税は次のようになります。
スーパー | △200円 |
農協 | 50円 |
農家 |
150円 |
計 | 0円 |
農協と農家が納税した消費税200円の全額がスーパーで還付され、消費税の納税は結果としてないことになります。
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