従業員がケガをしたとき、保険から給付を受けることができます。
どのような原因によってケガをしたかによって、使える保険が異なってきますので、従業員がケガをしたときの状況をしっかりと確認してから給付の請求をしなければなりません。
仕事をしていてケガをした場合には、労災保険から給付がでます。
例えば、料理店の従業員が調理中に熱湯でヤケドをしたり、営業マンが営業中に事故に遭ったりしたときには、労災保険を使って病院にかかることになります。 仕事中にケガをして病院に行くときには、労災保険の請求書を持って行き、治療を受けます。
労災保険の請求書は会社が作成します。
通勤途中にケガをした場合にも、労災保険から給付がでます。
例えば、通勤途中に駅で転倒したり、事故に遭ったりしてケガをした場合には、労災保険を使って病院にかかることになります。
この場合も仕事中のケガと同じように、労災保険の請求書は会社が作成します。
仕事中や通勤途中のケガで使う主な労災保険は療養(補償)給付と休業(補償)給付です。
療養(補償)給付は医療機関で治療を受けるときに使います。
会社が「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を作成し、従業員がこれを医療機関の窓口に提出します。
また、仕事中や通勤途中のケガが原因で働けなくなったときには、会社が「休業(補償)給付支給請求書」を作成し、これを労働基準監督署に提出します。
こうすることで、働けない期間(会社から賃金がもらえない期間)について、賃金のおよそ80%が国から支給されることになります。
ケガの原因が仕事中でもなく、通勤途中でもない場合には、健康保険から給付を受けることになります。
医療機関の窓口で健康保険証を提示して治療を受けます。
また、ケガが原因で働けなくなったときには、健康保険(国民健康保険は除きます)から傷病手当金を受けることができます。
働けない期間(会社から賃金がもらえない期間)について、最長で1年6ヶ月間受けることができます。
仕事中や通勤途中のケガなのに健康保険を使ってしまったり、私傷病なのに労災保険を使ってしまったら、医療費を一旦精算し、本来使うべきであった保険に医療費を請求しなければなりません。非常に面倒な手続ですので、状況を確認し、使うべき保険を間違えないようにする必要があります。
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