12月10日に平成24年度の税制改正大綱が発表されました。所得税の改正が中心で、相続税や贈与税の抜本改正は積み残されました。
給与所得控除とは、給与所得者に認められた必要経費です。現行では給与収入額が2,000万円の場合、給与所得控除は270万円認められ、給与所得は差し引きの1,730万円になります。改正では給与収入額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額は245万円が上限となります。したがって、給与収入が2,000万円の場合の給与所得は1,755万円となります。
給与所得者が業務に必要な資格取得費や図書の購入、交際費などを一定額以上支出した場合に、給与所得控除額に加算できるようになりました。
毎月の給与を少なくして、その分を退職時に退職金としてもらうと税金はかなり安くなります。これを封じるために、勤続年数が5年以下の役員等に対する退職金について、退職所得控除後の残額を2分の1して課税する措置は廃止されました。
上記2~4は25年分以後の所得税に適用されます。
父母、祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置に改正がありました。
省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅の場合は、贈与年が24年の場合は1,500万円、25年は1,200万円、26年は1,000万円の非課税限度額となります。
それ以外の住宅の場合は、24年が1,000万円、25年が700万円、26年が500万円の非課税限度額となります。
相続税においては、相続人等の1人が相続税を納税できなくなった場合には、他の相続人等(連帯納税義務者)が代わりに納税する義務があります。とんでもない制度なのですが、今回改正がありました。
相続税の連帯納付義務について、申告期限等から5年を経過した場合、納税義務者が延納(税金の分割払い)又は納税猶予の適用を受けた場合には、連帯納付義務が解除されることになりました。
研究開発税制、交際費課税、30万円未満の少額減価償却の特例などは制度が2年延長されました。中小企業投資促進税制は対象資産を見直しの上、2年延長されました。
12月31日において5千万円を超える国外財産を所有する者は、税務署に報告が義務付けられました。税率の低い海外子会社に多額の利子を支払うことによる租税回避に対して対策が講じられました。
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