雇用契約の終了には大きく2種類あります。1つは、従業員からの申し出による「退職」、もう1つは、会社からの一方的な通知による「解雇」です。
退職の申し出と解雇の通知の時期には一定の決まりがあります。
従業員からの退職の申し出については、民法に定めがあります。
雇用契約期間に定めが無い場合には、いつでも雇用契約解約の申し出をすることができ、申し出の2週間後に雇用契約は終了します。
つまり、退職したい日の2週間前までに申し出ることで退職できるわけです。
しかし、期間によって報酬を定めている場合(例えば、月給制の場合)には扱いが異なります。
賃金計算期間の前半に申し出ると、その期間の末に退職することができます。
もし、申し出が賃金計算期間の後半になると、次回の賃金計算期間の末日に退職することができます。
さらに、6ヶ月以上の期間で報酬を定めている場合(例えば年俸制の場合)には、退職したい日の3ヶ月前までに申し出なければならないとされています。
民法には上記のように定められていますが、当事者間で取り決めをした場合には、その取り決めが優先されます。
例えば、就業規則や雇用契約などで、「退職の場合には退職日の1ヶ月前までに申し出ること」などと定めた場合には、これが適用されることになります。
ただし、期間を自由に設定できるわけでもありません。
一般的に考えて、あまりにも長い期間を設定すると無効となり、民法の規定が適用される可能性があります。
従って、業務の引き継ぎ等を勘案し、適切な期間を定めることが肝要です。
会社からの一方的な通知による解雇の場合では、会社は、解雇する日の少なくとも30日以上前に本人に通知しなければなりません。
もし、30日以上前に通知できない場合には、解雇予告手当を支払うことになります。
例えば、20日前に通知すると、10日分の解雇予告手当の支払いが必要になります。
即日解雇の場合には、30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
退職と異なり、この解雇の通知のタイミングは、当事者間の取り決めで短くすることはできません。
退職申し出のタイミングは、引き継ぎ等が十分にできる期間を設けるようにして、それを就業規則などでしっかりと定めておくことが重要です。
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