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事業年度と税金

第209_1号 2011年10月

1.はじめに

事業年度とは会計期間のことで、会社法では1年を超えることはできないと規定しています。1年以下であれば何ヶ月であっても良いのですが、通常は事業年度を1年とします。今回は、この事業年度と税務申告の関係を説明します。

2.申告期限の延長

法人税と法人地方税の申告は、事業年度の終了の日(決算日)の翌日から2ヶ月以内に申告しなければなりません。

ただし、株主総会の開催が事業年度終了後2ヶ月を超えて開催されるような場合は、税務署に「申告期限の延長の特例の申請書」を、都道府県税事務所に「申告書の提出期限の延長の承認申請書」を提出することにより1ヶ月間の申告期限の延長をすることができます。

申告期限の延長をすれば、事業年度終了後3ヶ月以内に申告をすればよいのですが、納税は事業年度終了後2ヶ月以内に概算払いとして納税しておきます。概算払い額と最終的な納税額との差額は申告時に精算することになります。

なお、消費税においては申告期限の延長制度はありませんので、事業年度終了後2ヶ月以内の申告となります。

3.中間申告

法人税と法人地方税については、前年度の法人税額が20万円を超えると、事業年度を開始してから6ヶ月経過した日から2ヶ月以内に中間申告をすることになっています。

中間申告には、前年度の税額の2分の1を申告する予定申告と6ヶ月の仮決算を組んで申告する中間申告の2つの方法があります。予定申告では、税務署から申告書と納付書が送られてきますので、そのまま申告納税します。

上半期の業績が悪く、予定申告による税額より仮決算による中間申告税額の方が少ない場合に、仮決算による中間申告を行うことがあります。

なお消費税は、直前課税期間の確定消費税額が48万円を超えると、税額により年1回、年3回、年11回の中間申告をする必要があります。消費税も、予定申告と仮決算による中間申告がでます。

4.仮決算による中間申告の制限

本来は通期でそれほど利益が出ないのは分かっていながら、仮決算による中間申告の納税をして、本決算でその中間納税額を意図的に還付することが行われていました。これは、中間納税額の還付金に還付加算金という利息が付いて、銀行金利より利回りが良いことから、財テクとして利用されていたのです。この6月の改正で、このようなことはできなくなりました。

5.事業年度の変更

事業年度は一度決めたら変更できないということはありません。例えば3月決算で、来年の2月に含み益のある不動産の売却が12月に決まったとします。今期は業績もよく、更に売却益が上積みされると多額の納税が生じます。しかし、年明けの1月からは営業的に厳しい見通しである場合、事業年度を変更して12月決算にします。そうすると不動産の売却益の計上は翌事業年度となりますので、業績の悪化を取り込んで売却益と相殺させ、それと時間をかけた節税対策ができるようになります。

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