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従業員が退職するときには

第206_2号 2011年7月

1. はじめに

有給休暇をまとめて請求されたり、不当解雇と主張されたり、従業員が退職するときには様々なトラブルが発生しがちです。

従業員が退職する際にはどのような対応をすればよいのか、具体的なケースと対応の仕方を案内します。

2. 有給休暇をまとめて請求された

入社から半年経つと10日、1年半経つと11日、2年半経つと12日・・・6年半以降は毎年20日というように、毎年有給休暇を付与しなければなりません。

この有給休暇は付与日から2年間使うことができます。2年間は有給休暇を貯めておくことができるのです。

退職時に貯まった有給休暇をまとめて使われてしまうことがあります。

退職時にまとめて有給休暇を請求されたとしても、会社はこれを拒否することができません。

もし、業務の引き継ぎ等で有給休暇を使われては困る場合には、従業員の同意のもと、有給休暇を買い上げることで対応できます。

買い上げの単価は会社が自由に決められますので、状況に応じて単価設定をすれば足りることになります。

3. 計画年休を導入する

退職時にまとめて有給休暇を使われないためには、毎年、有給休暇を使ってもらうしかありません。

会社と従業員代表が協定を結ぶことで、計画的に有給休暇を使わせることができます。

例えば、夏季や冬季に有給休暇を計画的に使わせることで、有給休暇を定期的に消化させることができるのです。

4. 不当解雇であると主張された

円満退職だったのに、退職後に、実は不当解雇だったとして、解雇予告手当の支払いを求められたり、不当解雇の解決金として金銭を求められたりすることがあります。

このような場合、会社が「解雇」ではなく「退職」であったことを証明できれば、このような要求に対抗することができます。

退職時に書面で退職届を受け取ることで、このような退職者の要求に対抗することができます。

退職届が「解雇」ではなく「退職」であることの証拠となるわけです。

従業員が退職する際には、必ず退職届を取っておくことが肝要です。  

5. 従業員が行方不明になった

従業員と全く連絡が取れなくなって、行方不明になってしまった場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。

解雇するためには、解雇の通知が本人に届かなければなりませんので、解雇することができません。

本人から退職の申出がないので、退職扱いにすることもできません。

このような事態に対応するためには、予め就業規則や雇用契約で、「一定期間行方不明となった場合には、退職とする」ことを定めておくことです。

従業員が行方不明になったときには、これを根拠に退職扱いにすることができます。

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