雇用契約の期間の定め方には2通りあります。
1つは雇用契約に期間を定めないこと、もう1つは、雇用契約に期間を定めることです。
今回は、雇用契約の期間に定めを設けた場合のメリットやデメリットについて見ていきます。
労働基準法では、雇用契約に期間を設ける場合の上限が定められており、その上限期間は3年とされています。
ただし、例外があり、公認会計士や税理士、社会保険労務士、医師、弁護士、技術士といった高度の専門知識、技能を持った者と雇用契約を結ぶ場合には、上限期間は5年となります。
また、60歳以上の者と雇用契約を結ぶ場合にも、同様に上限期間は5年となります。
雇用契約に期間を定めるときには、雇用契約書にその旨を明記します。
例えば、「雇用契約期間は、平成23年6月1日から平成24年5月31日までとする」といったように、期間を明確にしておかなければなりません。
このように期間を定めた雇用契約を有期雇用契約といいます。
雇用契約に期間を設けると、契約期間が満了すると同時に雇用契約が終了します。
有期雇用契約が終了するときには、解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要です。
ただし、契約更新の際に、再契約することを怠っていたり、契約更新が自動更新になっていたりして、有期雇用契約が期間の定めのない契約と変わらなくなっている場合には、契約期間満了時に、解雇予告や解雇予告手当の支払いが必要になります。
契約期間満了日後に再契約手続をするケースも同様と考えられます。
有期雇用契約を結ぶ場合には、自動更新とはせず、契約更新時の再契約手続をしっかりと行うことがポイントです。
(契約更新の期待を持たせないこと、有期雇用契約が期間の定めのない契約と同一視されないようにすることが重要)。
有期雇用契約期間中の解雇は、かなり強く制限されています。よほどの理由がないと有期雇用契約期間中には解雇をすることができません。
例えば、横領をしたとか、会社の顧客情報を漏えいした等で、その程度が著しい場合などが考えられます。
有期雇用契約は、限定的なプロジェクトに従事してもらうときや、業務の適性を見極めるために一定期間働いてもらうときに有用です。
上記のメリットやデメリットを念頭に、適切な期間を定めて運用することが肝要です。
無断転用・転載を禁止します。