100%資本関係にあるグループ内の法人と法人との取引について、税金を特別扱いするグループ法人税制が昨年の10月1日から適用されています。
100%資本関係の範囲は広く、思わぬ形で適用を受けることがないよう、制度の内容をよく理解することが必要です。
A社、B社、C社は、100%資本関係にあり、各社間の取引はグループ法人税制の対象になります。
A社とB社は、個人甲の100%資本関係にあり、A社とB社の取引はグループ法人税制の対象となります。
個人が100%資本関係のある会社を持っている場合、その親族が同じく100%資本関係のある会社を持っていると、両社はグループ法人税制の対象になってしまいます。
親族の範囲は広く(6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族)、従兄弟の孫までその範囲に入ることになります。
上記のように、身内の者が各人100%資本関係のある法人を持っていると、A社、B社、C社、D社との間の取引はすべてグループ法人税制の対象になります。
会社間の取引がグループ法人税制の対象になると、1,000万円以上の資産の譲渡で、多額の譲渡益が出ても税金計算上なかったものとして扱われます。つまり、父の会社から子の会社に収益物件を売却しても売却益に対して法人税はその時点で課税されることはないのです。また、会社間で多額の寄附をした場合に計上される寄附金や受贈益も税金計算上なかったものとして扱われます。
このように税金の扱いが大きく違ってきますので、グループ法人税制が適用される100%資本関係をまず把握することが必要です。また、この税制を利用すれば、100%資本関係のある会社を新たに設立して節税することも考えられるでしょう。
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