従業員が欠勤した場合には、会社は欠勤した日についても賃金を支払わなければいけないのでしょうか。
また、遅刻や早退があったときには遅刻早退時間分についても賃金を支払わなければいけないのでしょうか。
不就労時間と賃金の関係について、みていきましょう。
会社には、従業員が仕事に就かない時間についてまで賃金を支払う義務はありません。
働いていない時間については賃金を支払う必要がないのです。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。
従業員が欠勤をした日については賃金を支払う必要がありませんし、遅刻早退時間分についても賃金を支払う必要はありません。
もちろん、社内制度で、欠勤や遅刻早退についても賃金を支払う(欠勤や遅刻早退があっても賃金を減額しない)ことにしても問題はありません。
会社の就業規則などで、「遅刻を3回したら1日分の給与を減額する」というような規定を見かけることがあります。
はたして、このような制度は認められるのでしょうか。
この制度ですと、遅刻した時間にかかわらず1日分の給与が減額されてしまうわけですから、ケースによっては、遅刻した時間を超えて賃金が支払われないことになってしまいます。
働いていない時間の賃金は支払う必要がないのですが、働いた時間についてはしっかりと賃金を支払わなければいけません。
従って、このような不就労分を超えて賃金を支払わないような制度は認められないことになります。
会社の都合で欠勤せざるを得ない場合にも賃金を支払う必要がないのでしょうか。
会社の都合で欠勤したときには、会社は賃金を支払わなければいけません。
支払わなければならない賃金の額は、平均賃金(およそ1日あたりの賃金額)の60%以上と決められています。
この賃金を休業手当といい、会社都合の欠勤の場合にはこの休業手当を支払うことが労働基準法で定められています。
従業員が欠勤したときに、有給休暇を取得したことにして賃金を減額しないことがあります。
このような制度は問題ないのでしょうか。
会社が勝手に欠勤日を有給取得にすることはできません。
また、従業員が欠勤日の有給取得を希望した場合でも、会社は必ずしもこれに応じる義務はありません。
欠勤した日を有給休暇にすることを従業員本人が希望して、会社がそれを承諾した場合には問題ありません。
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