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公庫事業資金融資

第180_1号 2009年5月

1.はじめに

ここでいう公庫とは、日本政策金融公庫(国民生活事業)のことです。景気が停滞する中、公庫による事業資金の融資額は、前年同期を約40%上回っています。公庫融資に関する実務的なポイントを説明します。

2.様々な融資制度があります

日本政策金融公庫の国民生活事業における融資には、普通貸付の他にIT関連の設備投資向けのIT資金、新規開業資金、女性または30歳未満の若者や55歳以上のシニアの起業家資金の融資、セーフティネット貸付など様々な制度があります。

3.原則、担保か第三者保証人が必要

公庫の融資には、原則として不動産などを担保提供するか、第三者の連帯保証人が必要となります。第三者に連帯保証人を頼むのは、かなりハードルが高いと言えます。

第三者連帯保証人は、会社代表者の身内以外の人である必要があります。ただし代表者とは別生計であれば、代表者の兄弟でも子供でもなることができます。また、代表者の配偶者が安定した収入を得ている場合にも、第三者連帯保証人となることが可能です。

4.第三者保証人を不要とする制度

公庫では、法人の代表者だけを連帯保証人とし、第三者の連帯保証人を不要とする制度があります。

この制度を利用できる条件は、次のいずれにも該当することです。

  1. 税務申告を2期以上行っていること
  2. 法人税等の税金を完納していること

5.自己資金の確認

新創業融資制度(無担保、無保証人で利用できる創業融資制度)において、決算がまだ未到来で税務申告をしていない場合には、創業資金の3分の1以上の自己資金が必要となります。

この自己資金は、創業時の資本金額ではなく、創業して事業に使うために用意できる資金のことを言います。身内から提供を受けた資金であっても、返済の必要のないものであれば、ここでいう自己資金に該当します。資金の出処は通帳等で確認されますので、資金提供は銀行振込などで行う必要があります。現金でもらうようなことは避けるのが得策です。

6.融資を断られるケース

会社から役員に多額の貸付金がある、また、会社からグループ会社に多額の貸付金がある場合。融資した資金が、本来の目的に使われるか疑問があるケースでは、融資を断られます。

他の金融機関の返済が期日どおりにされていない場合、公共料金の支払いが遅れている場合、事務所家賃の支払いが期日どおりにされていない場合などは、かなりのマイナスポイントになります。

7.経営者の姿勢が重要

いくら書類が立派に準備されていても、やはり経営者の熱意や信用度が重要視されます。今まで勤務していた会社の社長が連帯保証人になってくれるような人物であれば間違いなく融資がおりるでしょう。

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